世界的な観光地であり、女子の永遠の憧れ、京都。この街にお引越ししたライターYが、ストリートから神社仏閣まで、初心者目線で見つけた気になるモノやスポット、イケてる人たちなどなど、フリースタイルでご紹介します。前回は〈Oud./ウード〉。
建仁寺塔頭 西来院 meets〈ブルーボトルコーヒー〉
ライターYの京都通信 チャリで回って見つけた素敵なモノ Vol.19
やたら寒い3月を終えて、京都の桜もついに満開を迎えています。春の陽気につられてお散歩するのも楽しくて、一年を通じて一番「京都に住んでてよかった~」と実感できる季節です。ウキウキ気分で今回ご紹介するのは、この春の私的最推しスポット。なんとこの地最古の禅寺である建仁寺の塔頭寺院・西来院(せいらいいん)のなかに、みんな大好き〈ブルーボトルコーヒー〉の移動式カフェ「ブルーボトル コーヒートラック」がオープン。意外な組み合わせ、かと思いきや、禅と喫茶には深いつながりがあるのです。
この素敵なコラボを知ったのは、3月末に開催された「蘭渓道隆禅師来⽇伝法記念シンポジウム」でのこと。蘭渓道隆とは中国・四川省出身の禅僧で、建仁寺の十一世住持であり、その塔頭・西来院の開山の祖。2028 年に750 年遠忌を迎えるにあたり、日中の仏教界の親交を深めるための京都でイベントが開かれたのですが、そこで出会った建仁寺塔頭寺院・西来院のご住職・雲林院宗碩さんのお話が面白すぎて目から鱗。しかもお寺の中にブルーボトルを作った、なんて聞いたら行かないわけにはいかないでしょ。
建仁寺を1202年に開山した栄西は、日本に本格的なお茶の文化を伝えた人物。そして前述の蘭渓道隆は日本に「喫茶去」(平たくいうと「お茶を飲んで出直してきなさい」という禅語のひとつ)などを伝えたとされています。「臨済宗はお茶で禅の説法をするのです。建仁寺にはかつて茶堂があったのですが、長い年月の中で失われてしまった。それを生まれ変わらせて、“坐”をテーマにした現代版の茶堂を作りたかったんです」と宗碩さん。ゆっくりと座って庭を眺めながら、自分の中の“仏”を見つめる。難解なイメージのつきまとう禅の教えを噛み砕き、わたしたちの日常生活に落とし込みつつ伝えるプロジェクトなのですね。
Photo and Text: Hiroko Yabuki