体の調子が悪いと、表情どんより&仕事や勉強の効率が落ちて、心までダウナーに…そうならないために、日々何ができるの?そんなあなたに向けて、京都・左京区で鍼灸院を営む安東由仁さん、通称ゆにさんが東洋医学的見地から、季節ごとに元気を高める暮らし方のコツを教えます。「休む・食べる・動く」のシンプルな3ステップで、1年中ステイ・ヘルシー!
鍼灸師ゆにが教える、季節の養生3原則。夏の「休む・食べる・動く」
一年のうちで最も陽気(*)が強く、生き物が元気になるのが夏。秋冬に蓄えたエネルギーをすっかり使い切るように、どんどん外に出て活発に動き、汗をかいて楽しく過ごす。それが、この季節の養生です。
しかし最近は気温が高くなり過ぎていたり、暑い時期が長く続いたりして、気をつけないと出不精になり、かえって秋冬よりも運動量が減ってしまいます。またエアコンのきいた室内の肌寒さと外気の暑さの差が大きいために、自律神経が疲れてしまうことも。
「休む・動く・食べる」に積極的に取り組んで、夏バテを防ぎましょう。
*東洋医学における、体を温め、あらゆる身体活動を行うためのエネルギーのこと。
朝活に最適な季節
ただし夜更かしはNG
夏は比較的、睡眠時間が短くてもいい季節なので、朝活に最適です。ただし、夜更かしは避けましょう。東洋医学では、血を増やすには「夜に眠っている」ことが大切なのです。血が足りなくなると、体にこもった余分な熱を下げられなくなってしまいます。朝活するなら、まず夜にしっかり眠ってから。早寝しないで朝起きる時間だけ早めると、夏バテしてしまいます。
夜ぐっすり眠るには、昼間の活動モードからの切り替えが大事。暑くてシャワーで済ませがちな夏だけれど、毎日でなくてもいいので、湯船につかりましょう。エアコンと外気の気温差で自律神経が混乱し、体温調節がうまくいかず、足は冷たいけど上半身はのぼせた状態を湯船でリセット。水圧によるマッサージ効果でむくみも取れます。お風呂から出て、体温が下がってきたところで入眠するといいでしょう。
ここ数年の猛暑では、エアコンはむしろ使わないとうまく眠れませんね。単機能の除湿機をかけてからエアコンをかけると、温度をさほど下げなくても快適に眠ることができます。
カレーにゴーヤチャンプルー
暑い地域の料理でシャキッと
蒸し暑くて食欲が出ないときはつい口当たりのいい、そうめんなどの炭水化物や、アイスクリームなどの糖質ばかり摂ってしまうことも。すると、体がむくんでだるくなり、胃腸はむくみに弱いので、ますます食欲が出なくなります。夏バテ対策には、たんぱく質を摂るのを忘れずに。肉や魚が重く感じるときは、卵や豆腐など軽いものに置き換えたり、ひき肉など食べやすい形状のものをうまく使ったりして不足を防ぎましょう。
近年、全国的に夏がとても暑くなり、暑い土地の料理が合うようになりました。沖縄料理でお馴染みのゴーヤの苦みには、体の余分な熱と水分を外へ出す働きがあります。同じく湿気を取ってくれる豆腐と合わせたゴーヤチャンプルーは、湿気の多い日本の夏にぴったり。
スパイス類も食欲を刺激し、体に汗をかかせることで、熱を外へ出してくれます。スパイスの効いたカレーやチリコンカンは、豆やひき肉、野菜をまとめて食べることができますし、ご飯との相性もばっちり。ただし、市販のカレールーには脂が含まれていることが多く、湿気の多い時期には合わないのでご注意を。スパイスやカレー粉で作る、サラッとした仕上がりのカレーがおすすめです。
日中は家でスクワット
涼しい朝夕に散歩へ
本来はしっかり動いて汗をかきたい季節。しかしここ数年、昼間は外に出るのが難しいほど気温が高いせいで、運動不足になる傾向にあります。運動量が減り、特に低下するのは筋力と持久力。デスクワークで座っている時間が長いと、とりわけ下半身の筋力・筋肉量が減ってしまいます。下半身には大きな筋肉がたくさんあり、家の中でスクワットをするだけでも、合計回数がしっかりあれば効果が出ます。思いついたらスクワットを!
早朝や夕方など暑過ぎない時間帯に、散歩に出かけましょう。その際中、いつもより早足で歩くウォーキングや、気が向いたら軽いジョギングなど、「普段よりちょっときつい」運動を混ぜるのもいい筋トレに。汗を出すことで、体から熱を発散する効果もあります。
熱中症対策には運動前から後までを通して、しっかり給水すること。あまり最初から張り切ってやり過ぎず、徐々に運動の時間・量を増やすなど、「慣らし」を必ず設けること。また汗をかいたら着替えて、エアコンによる冷えや、湿気を防ぎましょう。
以下は夏の養生をもっと詳しく知りたい方向けの、
体質にフォーカスしたアドバイスです。
ご自身の、現在の体質はチェックシートで調べてみて!
「気虚」の人は夏バテしやすいので、外出は暑過ぎない時間に。入浴は、湯船につかるのがしんどく感じるようなら、シャワーと合わせて足湯を。「血虚」の人も汗がかきにくく、夏の暑さがこたえます。「気虚」「血虚」とも、食べるのがつらいからと冷たいものや炭水化物に偏った食事になると、余計につらくなります。白身魚や卵料理、そぼろなど、食べやすい高たんぱくレシピを探してぜひ取り入れましょう。
「陰虚」の人は食べないでいると、ますます体が乾いて熱が上がってしまいます。果物などみずみずしいものも含めて、よく食べるようにしましょう。「気滞」「血瘀」の人はじっとしていると体に熱がこもってイライラしてしまうので、動いてしっかり発散を。「痰湿」の人は甘いもの、冷たいものを摂り過ぎてむくみが出ないように注意しましょう。
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安東由仁
鍼灸師。京都生まれ。20年間アスレティックトレーナーとして勤めたのち、京都に戻り、左京区・鹿ヶ谷にある町家で「ゆに鍼灸院」(完全予約制)をオープン。治療だけでなく、暮らしの中でできる養生術も伝えるなど、“自分をバージョンアップ”するためのお手伝いをしている。
@humanitekyoto
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