ふとしたときに引っかかる小さな懸念から、長年抱え込んでいたお悩みまで。きれいにまつわるあなたの問いかけに、ビューティライターのAYANAがお返事します。
きれいのお悩み投函箱 vol.4
あなたとAYANAの一問一答 「メイクしてる感」の出し方とは?
📩 お手紙 📩
アイメイクをしてもあまり顔が変わらないのが悩みです。濃いメイクをしたいわけじゃないけど、せっかくやっているのに「メイクしてる感」がないのが寂しくて。コツはありますか?
💌 お返事 💌
突然私の話を失礼しますが、いま40代後半で、昔より格段にアイメイクが目立たなくなりました。結構念入りにメイクしたはずなのに、写真に撮られるとそれが全然映ってなくてびっくりしたことも一度や二度ではありません。どうしてなんだろうなと私なりに考えてみたんですが、肌にいろんな影が多いからなのかなと。たとえばハリがなくなって、シワやたるみ、キメなどの影が入る。色ムラやくすみ、シミなども出てくる。そこに色を乗せても、なんとなく新しい影としてなじんでしまう。若い時は肌にハリがあって余白があったから、目立ってたのかなと思い至りました。
たとえば幕の内弁当。白いご飯(余白)の中央に梅干し(アイメイク)が乗っていたら目立つし、梅干しの赤もご飯の白もきれいに見えます。でも、おかずがいろいろ並んでいるところに梅干しを1個置いても、ごちゃごちゃしていてあまり目立たない。極端にいうとそういう感じなのかなと思います。
これは私の加齢による変化の話だけど、そんなわけで、質問者さんのアイメイクが目立たない原因は、もしかしたら目周りの掘りが深かったり、目と眉の幅が狭かったりなど、色がのびのび個性を主張するための余白が少ない造形をしていらっしゃるということなのかな?と思いました。どうでしょうか。
さて、濃いわけではないけれど、存在感のあるメイクをするにはどうするか。
過去通っていたメイクアップスクールで「人はものを見るとき、色、形、質感の順番に認識する」と習ったことがあります。たしかについつい「色」にフォーカスし、色合いや濃淡でなんとかしようと考えてしまいますが、2番目の「形」のほうに着目してみてはどうだろう?と思います。
たとえばシャドウは控えめに、アイライナーで遊んでみる。少し太めに引いたり、下瞼にも入れたり、長さや形で遊んだり。メイク濃いね!とはならずとも、ずいぶん印象が変わるはずです。きれいなメタリックカラーで細めにぐるっと囲んでから丁寧にぼかせばキリッと仕上がりますし、マットとシマーを重ねるシャドウスティックなら、まろやかで奥行きのあるアーティスティックな目もとに。
アイライナーは難しそう……とお考えなら、マスカラはいかがでしょう。2023年は、ボリュームアップ&ロングラッシュを叶えながら美しいカラーを放ってくれるものがたくさん登場しました。いつもより気持ちたっぷりめに、大胆に、長さとボリュームをアップしてフレームラインを華やかにすると、立体的でくっきりとしたおしゃれな目もとが完成すると思います。
広めに塗り広げるものではなく、形や密度でドラマティックに。これらのアイテムは、目立ちにくいアイシャドウの存在感も引っ張り上げてくれるはずです。
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AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、インタビュー、ブランドカタログなど広く執筆。化粧品メーカー企画開発職の経験を活かし、ブランディングや商品開発にも関わる。2021年、エッセイ集『「美しい」のものさし』(双葉社)を上梓。文章講座EMOTIONAL WRITING METHOD(#エモ文)主宰、OSAJI メイクアップコレクションディレクターも務める。
Photo&Text: AYANA