〈シャネル〉 のメイクアップコレクションなどをクリエイトする「コメット コレクティヴ」が来日。メンバーであり、それぞれメイクアップアーティストとしても活躍するアミィ ドラマ、セシル パラヴィナ、ヴァレンティナ リーに、創造の根源をインタビュー!
CHANELのメイクアップを手掛ける「コメット コレクティヴ」の脳内とは?
ベールに包まれた3人の素顔に迫る!


──コメット コレクティヴとして活動を始めて約3年経ちましたが、変化や成長は感じていますか?
ヴァレンティナ 3人で組むことで、いちメイクアップアーティストを超えたクリエイターになったと感じています。ちょっとポエティックな言い方をすると、夜空に星が1つではあまり輝かないけれど、3つあれば輝く──今の私たちはそんな感じかもしれません(笑)。創作の上で生じるさまざまな難しさに対しても、お互い向き合いディスカッションをしながら進めるのが、今はとても心地いいんです。
セシル このコラボレーションが本当にポジティブだと思うのは、それぞれのバックグラウンドも好みも、メイクのテクニックもまったく異なっていること。ひとりだったら作っていなかったであろうプロダクトも、3人いることによって挑戦できているなと感じます。あと私たちはスキントーンも全然違うので、多様なユーザーのことを想像してクリエイションを展開できているんじゃないでしょうか。
アミィ 3人でメイクアップの現場の仕事をできるのがとても刺激的!ひとりで活動していると、自分のやり方に行き詰まるような場面もありますが、セシル、ヴァレンティナと一緒に挑むことで、今まで自分にはなかった視点をもらっています。
──カラーコスメを作る際に大切にしていることは?また新しいアイデアはどんなときに浮かびます?
セシル コレクションを作るときは、まず〈シャネル〉のアーカイブを深掘りします。ガブリエル シャネルの過去の旅を見ながら、その中にどういうカラーが存在していたんだろうかと考えるんです。彼女が旅した場所に実際行くこともありますね。それから休日は、ミュージアムへ行ったり、60~70年代のアバンギャルドな映画を観たりして、自分の中のデータベースにしています。日本の勅使河原 宏監督の作品も大好きですよ。
ヴァレンティナ 新しいプロダクトを考案するときは、色の裏側にあるストーリーを考え、物語を作っていくようにしています。世界は色彩に溢れていますが、どういう色のもつユニークネスが、アイコニックな存在になっていくのだろうと想像しています。普段は、物事を視覚だけでなく、心で感じるようにしています。映画や旅も好きですし、漫画とミュージックビデオは大好き!そういったものをいかに心の内側で感じられるかが、創作の源だと思っています。
アミィ コスメを作るとき、まず考えるのはバランスですね。わくわくするものを求める感覚と、タイムレスなプロダクトを作りたい気持ち、ブランドのスピリットを考慮したうえで、どういうものができるかを考えます。インスピレーションは無理やり求めていませんが、日々の暮らしを大切にすることで、ひらめきを得ている気がします。例えば、地元のマーケットで出会う女性たちのスタイルに、ヒントを得ることもあります。



Text_Chihiro Horie