前回のお話… vol.22 あなたの恋をぶち壊す、その執着の正体
恋愛部長「大人の恋の歩き方」vol.23 半ナマ恋愛のススメ

なかなか恋を始めるのもままならないご時世ですが。
いざ恋をしたものの、出だしでバーッと燃え上がってしまって、すぐ燃え尽きてしまったことってないですか?
「片思いが一番恋をしていて楽しい」という説もありますが、確かに「もしかして、あの人のこと、好きなのかも!」って思って、ちょっとドキドキしながらその人を見つめるころが、実は一番幸せなのかもしれません。
恋の出だしが一番盛り上がりやすく、要するに燃えやすい時期だったりするのは、恋愛に関わるホルモンのなせる業です。恋をすると、脳がドバーッと快楽物質を放出するので、いわゆる「恋は盲目」状態になりやすい。とにかく好き!欠点も見えないくらい好き!なんなら、問題点すら愛おしい!ってなる。寝ても覚めても、いや2、3日寝なくたって平気なくらい、ドーパミンが出まくってる脳の異常事態。実は、科学的に見ても、このドーパミンが出まくってる時期って言うのは、短期間しか続かないのです。あんまり続くと、刺激が強すぎて脳によくないからね。
ちなみに、この盲目状態に入ってしまうと、女性は特にですけど、その恋だけにロックオンしてしまいます。その人だけ。その恋だけ。生活すべてがそれ一色になってしまう。すごいパワーが発揮されます。
私も、昔はホントそうで、恋をすると明らかにパワーがみなぎってきて、なんでもできちゃう。すごい万能感。愛しい彼のことを考えて、徹夜明けなのに手作りケーキ焼いてみたり、家大掃除しちゃったりね。
でも、いつも恋愛相談で言うんですが、そういう時こそ、「まあ、まず落ち着け」と。そもそも相談してくる時点で、相当切羽詰まってる人ばかりなので、落ち着けと言われても簡単に落ち着けないとは思いますが。
そもそも、まだうまく行くかもわからない初期状態で、独りよがりに恋をバーッと燃え上がらせてはダメなんです。
大体、恋のエネルギーとは片っぽだけが盛り上がってるときには、全体のバランスをとろうとするかのように、相手のエネルギーを吸い取ってる場合が多い。要するに、自分ばっかり燃え上がって、ガンガン攻めるけど、相手はどんどん白けて引くばかり・・・って言う状態ですね。これ、ほんとによく起こるんで、要注意です。
では、どうしたらいいのでしょう?
それには、まず、恋の出だしでは、恋を半ナマ状態で放置する癖をつけることです。
女性の大半は、恋をすると、恋をしたこと自体に舞い上がる。その素敵な彼を見つけた自分に酔いしれて、自分でどんどん燃料をくべていく。燃え上がりたくて燃え上がってるって感じ。たとえば、女友達に連絡して、恋愛相談をしてみたりね。
そりゃ酒飲んで、女子数人がワイワイ恋バナしたら、そりゃみんな燃料くべまくるに決まってる(爆)。「えっ!いーじゃん!その人!」「写真見せて、えーっイケメン!っていうか、やさしそう!」「もう行くっきゃないでしょ?なに?LINEの返事まだなの?ここから送っちゃおーよ!」「いますぐ会いたいって送ろうよー!」ってな感じで。テンションがどんどん上がる方向へ焚きつける。女子の友達ってのはそういう生き物ですからね。どこ探したって、「いやいや、恋の始まりは落ち着け。半ナマな焼け具合にしなさい」なんて言う友人はいないはずです。
だから、「恋をしたかも、あの人いいかも?」ってドキッとしたなら、まず初期動作としては、他人には相談しないこと。これ鉄則。確実に相手の心をとらえて付き合うようになるまでは、心の中にそっとしまっておきましょう(なんなら、結婚が決まるまでお口にチャックしてもいいくらい)。
そして、まずは深呼吸します。「恋を燃え上がらせないこと。恋に集中は禁物。」と唱えましょう。どう考えても、彼の素敵な部分や、「もしかしたらうまくいくんじゃない?」「彼私に気がある??」「二人の相性最高なんじゃ・・・」っていう妄想が次々浮かんでくるとは思いますが、あえて心の中だけにしておきましょう。
もちろん妄想は止められませんが、その妄想で自分を盛り上げない!まずは、冷静に。
そして、ちょっといいなって思った気持ちを、あえて宙ぶらりんにしておきましょう。自分の心が縛られないように。心の中に自由になる空白部分を持つイメージです。何があっても「まあ、いっか!」です。
さらに理想的なのは、そういう「まあ、いっか!」って思って半ナマな焼き加減にした「好きな人」を、日常生活の中でたくさんつくること。それが、恋が成就する秘訣です。小さな恋をいっぱいできる心が柔らかな状態に自分を持っていく。惚れやすい、でも、惚れ込みすぎない。一人で勝手に燃え上がらない。軽い「恋かも?」な気分をたくさん持つ。
たった一人に集中して、本気になって燃え上がるのは、相手がこっちを向いてからで全然遅くはありません。それまでは、「好きかも?」「あ、こっちの彼も好きかも?」っていう気持ちがいっぱいあるほうがいいのです。
私が長い恋愛人生で悟ったこと。それは、モテる人というのは、誰に対しても「好き」が溢れているっていうことです。
誰だって、自分を好意的に見てくれて、ドキッとさせてくれる人を意識するものでしょ。やさしくされたら、そりゃ「好き!」って思うでしょ。それは、その人がたくさん軽い「好き」を持っていて、周り中に振りまいているからです。
そして、その軽さゆえに、自分が縛られず、自由でいられるから。心に余裕があるからモテる。
始まったばかりの片思いにゴーゴー燃え上がっていると、そうはいきませんよね。ただ一人の人の一挙手一投足に囚われて、自分らしく自由に振舞えない。力を全部そこにつぎ込んじゃうから、周りの他の人に、やさしくする余裕もない。
実は、恋をしてまだ出だしなのに、たった一人にロックオンして燃え上がってしまいがちな人には、恋がご無沙汰な人も多い。普段なかなか恋に落ちないからこそ、「これは恋?!」って思うと一生懸命になってしまうし、その恋をたった一つの恋だと思い込んでしまって、執着してしまうんですね。
でも考えてみて。
たとえば、自分にだけ一生懸命ですごいテンションで迫ってくる子と、周りの人から好かれてて、いつも周りから愛されている余裕のある子と、どっちが一緒にいて楽しいと思う?
誰だって、自分だけで世界が完結して思い詰めてる人よりも、心に他人にやさしくする余裕がある人がいい。「この子は俺を好きかも??でもほっとくと他に行ってしまうかも?」というちょっぴりのスリル感が、いい。
よく、恋愛指南本に書いてあるような「小悪魔な女」ってのは、要するに、心にその他大勢に対する「好き」があふれている人ってことです。完全に自分のものだって、確信がなかなか得られないから、手に入れたくなる。そういう心に自由な部分があるから、自分らしく振舞って、魅力的に見えるってこと。必要以上に相手に合わせようって肩に力入れたりしないってこと。
自分らしくいられれば、誰だって魅力的に見えるし、自分に合った人が引き寄せられてくるものなんですから、その魅力が封じられてしまうのは避けたいですよね。
だから、恋は出だしで燃え上がらずに、あえて半ナマで!
男性が好きなのは、白黒つけないグレーで曖昧な関係なものですが、そういう関係の時こそ、こっちも燃え上がって白黒つけに行かないで!半ナマな態度で、「どうしよっかな?」「まあ、いっか!」っていう対応を心がけましょう。
もちろん、見た目だけそうしたって、心が伴ってないのは意味ないですよ!心の底から「まあ、いっか!」って思えるように。その人だけに燃え上がらない。燃え尽くさない。
大人の恋はじわじわ熱を入れて。その人のことをゆっくりじっくり知るうちに、「ああ、自分に合うかもな」って感じて、だんだん好きになって行く、くらいの落ち着きがあるといいですね。
そのためにも、「素敵!」って思ったらすぐ飛びつくのをやめましょうね。
見た目や肩書だけではなく、中身を知っていくことで、「好き」をどんどん発見していけるように。大人の女は、半ナマ恋愛で。どうか、心の片隅にとめておいてください!
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恋愛部長
20代に恋愛で失敗を繰り返したことから、様々な独自の恋愛理論を編み出し、2008年から恋愛ブログ「恋はいばら道」をスタート。過去の失敗談を披露したり、多くの人の恋愛相談に乗ったりしている。私生活では、38歳で留学を機に当時結婚を考えていた彼氏と別れ、40歳で知り合った現在の夫と結婚、出産。現在は、広告代理店で働くかたわら、1男1女を子育て中。著書に、『28歳からの必勝ルール~恋愛部長の恋のムチ』『にっちもさっちもいかない恋がうまくいく本』(大和出版)。
HP: http://renaibucho.com
NOTE(恋愛相談): https://note.mu/renaibucho
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カシワイ
装画や挿絵などのイラストレーションや漫画を描く。リイド社より単行本『107号室通信』を刊行。
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