スタイリスト谷崎彩さんが愛するファッションの話。
洋服のプロ直伝!失敗しないニットの洗い方 – スタイリスト谷崎彩の超私的ファッション愛 #07

そろそろ衣替えの季節ですね。お洋服好きも年数を重ねてくると 大事なのは“ 大好きな服を大切に着ること=着た後のお手入れ”だなとつくづく感じます。しまう前は必ず洗濯して下さいね。 汚れてないように見えても、そのままにしておくとあれれ?
数ヶ月後に取り出した時には黄ばんでる!なんてことも。さて今回はお洋服愛(執着かも?)はタップリだけど、お洗濯の知識はシロウトだった私が勉強と経験を重ねるうちにたどりついたニットの洗い方についてご説明したいと思います。
これが…
こうなる!
腕はシワシワ、タートルネックの襟もヨレヨレだったのが、ここまでシャッキリします!
用意するもの
*IROKA
柔軟剤の匂いが苦手だったので、今まで使用せずにきたのですが、 こちらは天然香料が多く使用され、自然な香りの仕上がりです。やっぱり柔軟剤アリとナシでは仕上がりが違うんだとようやく気づきました。
*エマール
1951年に誕生し、おしゃれ着用洗剤売上、国内1位の不動の地位を誇るそうですが、昨年新たに形コ ントロール洗浄機能が加わりました。着用による伸び・ヨレを整えることができるのです。(ビフォーアフター写真を 見てね)最近の洗剤化学ってとても進んでるんだなぁと感心!お洗濯の頼もしい味方です。
馬毛だとカシミヤもシルクも優しくブラッシングできます。とにかく、お洋服にはブラッシング。マメにブラッシングしてあげると洋服地の繊維が整い、お洋服がキレイに保てます。ニットも毛玉ができにくくなりますよ。一日の終わりにハンガーにかけて 今日もお疲れ様!ありがとねー!とお洋服に伝えながらかけましょう。
*スチーム
ニット洗いの仕上げの最後にニットから少し離してスチームをかけると フンワリと柔らかな仕上がりになります。
お洗濯の手順
1.洗う前に、繊維を整えホコリをおとすために、 静かな気持ちでブラッシング。
この作業が仕上がりにどのくらい効果があるのかは定かではないのですが、私にとっては愛用品を洗濯する前の大切な儀式 です。
2.洗たく液をつくり(水4lにエマール10ml)衣類をたたみ、洗たく液の中でやさしく「沈める」「浮かせる」 を約20回繰り返す。
余談ですが、 エマールには従来から水道中の塩素成分をキャッチしてくれる色あせ防止成分が入っています。塩素は繊維中の染料に影響するので、水道水だけで洗うよりもエマールで洗ったほうが色褪せも防ぎながらきちんと汚れもニオイも落としてくれます。使わない手はないですよ。』と花王PR河野さん(本誌リナアラモード連載中に粉洗剤と液体洗剤の違いが知りたくてお客様相談室に電話したのが出会いの きっかけ😆)
お洗濯する水についても、ちゃんと研究されているので、 “日本の水には日本の洗剤”が良いのです。海外だときっとその国の洗剤がよいのでしょうし、 郷にいれば郷に従えですね。
3.たたんだまま、洗濯機で軽く脱水(15-30秒程度)。きれいな水ですすぎを2回(やさしく沈める、浮かせるを10-20回繰り返す)
柔軟剤仕上げは2回目のすすぎ時に入れます。
4.洗濯機で軽く脱水したら、形を整えて干す。
以前は手で絞る方が良いと思い込んでいたのですが、 “手洗いしても絞るのは厳禁!脱水は洗濯機に任せろ!”です。洗濯機の脱水機能は余計な力がかからず、衣類を傷めずしっかり脱水できるんです。ただし、時間は30秒位と短めに! そしてここからが仕上げのヤマ場!!
ニットの干し方
① 優しく洗い上げたニットはまずは平たいところに広げて“手アイロン”
強く伸ばしてしまってはウール繊維が伸びてしまうので、軽〜く、撫でるようにして優しく形を整えてあげて下さい。仕上がりが全然違いますよ。コットン製品なんかもこうしてあげると、アイロンいらないくらいです。
② 干す時は必ず平干しにするか、ハンガーを2本使って吊り下げないように干して下さい。
ココ気をつけないと、形が崩れたり、変に伸びてしまいます。私は数年前にインターネットで“平干し用洗濯ネット”と検索して写真の平干し用ネットを購入しました。吊り下げるタイプや一度に2-3枚干せるタイプなど色々あるので、自分にあったものを探してみて下さいね。
できあがり!
さて、今回は大のお気に入りヴェロニクブランキーノのカシミヤ混ニットだったので手洗いの方法をご紹介しましたが、もう少し気軽に洗濯したい場合は以下の点さえ気をつけてもらえれば洗濯機でも充分キレイに仕上がります。
*一枚ずつネットにいれて(というか、一度に沢山は洗わないでね)
*エマールと仕上げの柔軟剤を使い
*洗濯機のドライモードで!(機械によって呼び方が違いますね)
*とにかく、洗い上げた後の“手アイロン” と“伸びない干し方”を
何より大好きな服を洗うのに 一番大事なのは”愛情”です。 四季がちゃんとある日本だから、衣替えの習慣もあるのですよね。また次の冬に着るのが楽しみになるように お洗濯と保管はキチンとしておきたいですね。お洗濯前と後(乾ききった状態です)はこんな感じ。フワフワのサラサラに仕上がりますよ!
谷崎彩
スタイリスト。1998年から代官山の隅っこで小さな輸入洋品店を開業。2000年〜2004年くらいまでフランスのインディペンデントマガジン「Purple fashion 」のスタイリスト兼ファッションエディターを務める。