2023年に知っておきたい、映画にまつわるウワサ。映画・音楽まわりのMC・ライターの奥浜レイラと、ライター・編集者の小川知子がトーク!
再評価されるフェミニズム映画から巨匠のドキュメンタリーまで
GINZA調査隊が行く!映画界の気になるウワサ対談 後編
小川 現代でも、全米公開されたグレタ・ガーウィグの『バービー』は女性監督作品として、オープニング成績の新記録を叩き出し、変化を促している。彼女のように、ポジションを横断して、役者も脚本も監督もやる人も多いよね。俳優のクリステン・スチュワートも長編監督デビュー予定というし。同じように日本でも、俳優の須藤蓮が脚本家の渡辺あやと組んで映画を制作したり、齊藤工の監督最新作『スイート・マイホーム』も公開されるなど、俳優たちがクリエイターとして活躍する場が増えていそう。
奥浜 『スイート・マイホーム』のキャスティングを見ると、これまでとはまた別のレベルに向かっているのかなという印象を受けるよね。
小川 ダニエル・クワンとダニエル・シャイナートのコンビ「ダニエルズ」みたいに、近年は監督や制作を、友人たちとのチームや集団で請け負うスタイルも増えているようにも感じていて。
奥浜 『スクリーム』のリブートで注目されている「レディオ・サイレンス」の3人もそう。最近の若い監督たちは、権力を監督一人に集中させることの恐ろしさをわかっているのか、パワーを分散させて現場をオープンな会話ができる場としているように思います。
ウワサ06 👀
パワーの分散が
進む制作の現場
小川 ウェス・アンダーソンも、監督名として名前が立つのは一人だけど、チーム感がある。1955年の黄金期のアメリカを描いた新作『アステロイド・シティ』 もウェス映画の脚本チームに欠かせない存在のロマン・コッポラが原案を共作し、ウェス作品の常連ジェイソン・シュワルツマンが主演している。ただ古き良き時代と懐かしんでいるわけではなく、どんなに世界の枠組みを完璧につくりあげても、物語もそこにいる人物も勝手に走り出してしまう、というままならなさをも映し出す作品だった。
ウワサ07 👀
ウェス・アンダーソン的
50sへの憧憬と哀しみ
Text&Edit_Tomoko Ogawa