江戸が火の海になる危機をなんとか免れようとする天璋院(福士蒼汰)や和宮(岸井ゆきの)。やがて大奥が終焉を迎え……。Season2 最終話となった『大奥』21話(幕末編6話)を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。20話レビューはコチラ。
未来につながる女たちの思い
江戸が火の海になる危機をなんとか免れようとする天璋院(福士蒼汰)や和宮(岸井ゆきの)。やがて大奥が終焉を迎え……。Season2 最終話となった『大奥』21話(幕末編6話)を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。20話レビューはコチラ。
「今日より大奥はここで過ごしたる各人の心を住処とす」
そんなドラマオリジナルのナレーションが印象的な最終回をもって、3月から季節をまたいで21回にわたって放送された男女逆転版『大奥』が終わりを迎えた。
家茂(志田彩良)の「亀之助を将軍に」との遺言は無視され、慶喜(大東駿介)が15代将軍の座につく。大政奉還を行い、徳川家は政権を手放した。しかし領地を渡さない、戦を始めてしまう、その新政府軍との戦いから逃げ帰るなどの振る舞いを重ねる慶喜。慶喜の首をとろうとする西郷隆盛(原田泰造)との和平調停に勝海舟(味方良介)が臨むことに。天璋院(福士蒼汰)と和宮(岸井ゆきの)も同席する。
「本来、政をする力のなか女たち」が将軍として君臨したことが日本を「世界から遅れた恥ずかしい国にさせてしもうた」、世界から「未開の蛮族の国と蔑まれてしまいもす」と言う西郷に、和宮は「蔑まれたら誇り返したらいいやろ」と言い放つ。
「西郷、これだけは忘れんといてほしいんやけどなあ。この江戸は、列強の町にも劣らへんというこの町は、あんたが恥ずかしい言うた女将軍のお膝元で、その町の女らが育ててきたんやで。日々の営みの中で。別に歴史なんてどうでもええわ。あんたらのええように歪めたらええ。けど、江戸の町には傷ひとつつけんといて!」
和宮は、家茂が愛した江戸を守り抜いた。
そもそも、三代家光のために春日局が作った大奥は、徳川家の血を継ぐための場所だった。けれど、最後に江戸の民を守ったのは、徳川家の血の者ではなく、将軍の、愛した人の志を受け継いだ者だった。幕府を倒した薩摩の出身で、かつて女将軍の御台所であった天璋院と、帝の血を受け継ぐ京都生まれの女で、かつ女将軍の御台所となった和宮。この二人が、江戸を守り抜いたのだ。
Edit_Yukiko Arai