1月のエンタメをレビュー!GINZA編集部がレコメンドする新刊をご紹介。
🎨CULTURE
残酷で混沌とした10代を過ごした主人公がやがて見た風景は──イタリア文学『甘くない湖水』
1月のG’s BOOK REVIEW
『甘くない湖水』
ジュリア・カミニート
![(越前貴美子訳/早川書房/¥2,750)](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fapi.ginzamag.com%2Fwp-content%2Fuploads%2F2024%2F01%2F1d83d407bf4b2b3d9a199cfa2422bfbc.jpg&w=3840&q=75)
4人の子どもを育て、障害のある夫を支えてきた母に「正しさ」を強要されてきた少女ガイア。思考の自由がない閉塞感は友情や恋にも影響を与え、自分や他人を許容する気持ちを持てないまま彼女は青春期を迎えてしまう。残酷で混沌とした10代を過ごしたガイアが、やがて見た風景は──国や境遇は違っても、つぶさに言語化された痛みを覚えのあるものだと感じる読者も多いはず。イタリアの作家による長編。
🗣️
Recommender_北村浩子
今月印象に残った一文。《自分の目の前では、悲しいことが起こってほしくないっていうのがあるよね》(『共に明るい』より)