国内外のクラブシーンで個性を光らせるフィメールDJ。音楽の原体験とパフォーマンス、そしてそれぞれが楽しむ東京の夜。DJ Lociとして活動し、イベントオーガナイズも手がけるイーチン・ヤンが話を聞いた。
DJとのカンバセーション04 FELINE
17歳でDJを始め、今年でキャリア12年目のフィーライン。小中学生の時にエレクトロにハマり、地元・水戸市のクラブで働きながら、DJ活動をスタート。イギリスのベースミュージックを軸にしつつも、ジャンルを横断したプレイスタイルが魅力だ。
──正統派な音を好む一方で、FELINEさんのプレイスタイルはすごく自由ですよね。
「地元のクラブで働いていた頃は知らない音を浴びるように聴いていました。今振り返っても、あの経験は大切。ただ自由なだけでなく、ある程度にルールがある状況が好きなんです。ジャンルごとに、音の文脈やミキシングの仕方を理解した上で、崩し、逸脱していきたいという想いが、自分の芯にあるのかもしれません。理性と本能が同居する面白さって絶対あるから」
──今年7月には渋谷ENTERで初主催のイベント「鬼の居ぬ間に」も開催されましたね。
「昨年頭に下北沢SPREADで初のワンマンがあり、それ以降いろんな人からパーティ企画しないの?って声をかけてもらって。いろんなタイミングが重なり、思い切ってやってみようと!時間の感覚を忘れるくらい音楽に没頭できる体験って、私の中でとてもスペシャル。そんな感覚に導いてくれるDJたちが出演し、見事に朝9時まで遊び続けましたね(笑)」
──DJされている時以外の日常って、どんなことをして過ごしているのですか?Instagramを見ていても、すごく生活を大切にされている印象があります。
「気づいてくれてうれしい(笑)。DJって、音楽性だけで語られるものでもないですよね。毎日いろんな人と触れ合うことが、私の創作意欲につながっているのは確か。自分ひとりでは解釈できる曲の限界があるし、他者とのコミュニケーションが、音楽の聴き方にも新しい気づきを与えてくれるんですよね。いろんな人の視点を取り入れることで、自分のクリエイションの解像度が上がっていくんです」
Photo_Taisuke Nakano Interview_Yiqing Yan Text&Edit_Sakiko Fukuhara