いよいよ「錦糸町フェス」! ドラマ24『錦糸町パラダイス〜渋谷から一本』12話(最終話)を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。11話のレビューはコチラ。
特別な時間が流れていた、新たなドラマの可能性を観た
いよいよ「錦糸町フェス」! ドラマ24『錦糸町パラダイス〜渋谷から一本』12話(最終話)を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。11話のレビューはコチラ。
最終話の舞台は、第1話からその存在が描かれてきた「錦糸町フェス」。『錦糸町パラダイス』の発起人でありプロデューサーでもある柄本時生が今作の発想の源としていた『ナッシュビル』(75、ロバート・アルトマン監督)よろしく、これまでドラマに出てきた人々がフェスの会場に集う。
ジャズ演奏の次に幼稚園児の発表、というごちゃまぜなプログラム。園児たちの姿をひっそり観に来たのは学生時代、かつての親友・美里(太田しずく)をいじめて自殺に追い込んだ麻衣(山下リオ)。蒼(岡田将生)によってそのことが暴露された後、幼稚園の先生の職を辞したようだ。
フェス会場の片隅の特設ブースから地元FM「星降る錦糸町」を発信しているなみえ(濱田マリ)とかおる(光石研)。そのブースにまっさん(星田英利)が訪れ、蒼を放っておいたなみえを糾弾する。「MOROHAが観たいからもっと生きたい」と言っていたほどの、そのMOROHAのステージを観ることを放棄してまで。
「人に見てもらえなかった、見つけてもらえなかったの。だからよ、どうやったら見つけてもらえるかなって、ずっと考えてたんだろうな。だからあいつは自分みたいな思いしてる奴らのために動いたんだ」
そういってまっさんは、錦糸町の街中に貼られていたQRコードをばら撒く。気づいた蒼がまっさんをブース前から引き離すが、その様子を見ていた麻衣の母親(美保純)が衝動的に刃物を掴んで蒼に向け、結果まっさんを刺してしまう。
こんな衝撃の瞬間さえも、このドラマに特徴的な、少し遠くからの画角で映される。この突き放されたような距離感によって、かえってその場に居合わせたような感覚を味わった。
Edit_Yukiko Arai