機能性や快適性を兼ね備えたギアアイテムを取り入れるなら?ストリートスタイルフォトグラファー、シトウレイさんが近年パリで撮影したスナップと共に、ユナイテッドアローズ上級顧問、栗野宏文さんに2025年のスポーツスタイルについて聞きました。 GINZA 5月号この春、スポーツ×ファッションが最強だ!
25年の最新スタイルとは?シトウレイさん、栗野宏文さんに聞く“スポーツ&ファッション”の現在地

──今季はスポーツから着想を得たコレクションが多数登場しました。実際に街中ではどうでしたか?
シトウレイ(以下シトウ) スポーツスタイルは5〜6年前から見かけていましたが、そのまま取り入れるのではなく、どう味付けするかを考えている人が多いですね。前シーズンはワークと合わせて外していましたが、それも一段落して、アウトドアとモードを取り入れているのかなと。
栗野宏文(以下栗野) あと大きな括りとして、プレッピーもありますよね。今回、ファッション×スポーツを考えた時、最初にこういったスタイルが流行り始めてから、随分変わったなと感じたんです。例えば、スポーツ選手自体がカッコいい。バレーボールの石川祐希選手や、やり投げの北口榛花選手など、身体ができているからドレスアップしても似合う。痩せている9頭身がおしゃれという時代はもう終わりですよね。シトウさんがモデルとして最初に〈コシェ〉のショーに出られたのは2017年春夏ですが、プラスサイズやダイバーシティといった考えは〈コシェ〉が最初だったんじゃないかな。完璧なモデルではなく、いろいろな人がいた方が面白いのがわかったから、服そのものよりも、それを着ている人を含めてカッコいいという風に目線が変わってきています。
シトウ 服ではなく、人にフォーカスする。その感覚、わかります。
栗野 そう。だから、スナップを見ていても、モデルやインフルエンサーに「私よ!撮って」とアピールされると白々しく感じてしまいます。
シトウ トミー・トンや、『The Sartorialist』のスコット・シューマンなどストリートスナップ第一世代は、よりパーソナルに、より内面に移行しています。私も作らない表情の自然な姿を撮るようになりました。今回選んだのも「私よ!」タイプではなく、リアリティのある人たちです。
Photo_Rei Shito Text&Edit_Mika Koyanagi