〈ボッテガ・ヴェネタ/Bottega Veneta〉が、ブランドの象徴であるレザーの編み込み「イントレチャート」の誕生50周年を祝うキャンペーンを発表。「Craft is our Language (クラフトは私たちの言語)」と題された一連の写真には、手や体の動きを通した表現への敬意が溢れている。
〈ボッテガ・ヴェネタ〉が手の所作とともにクラフトを讃える
イントレチャートの誕生50周年を祝うキャンペーン

レザー紐を編み込んで作られる「イントレチャート」。1975年の誕生以来、〈ボッテガ・ヴェネタ〉のブランドのアイデンティティとして存在感を放っている。
キャンペーン「Craft is our Language」では、イントレチャートを単なる技法やデザインとしてではなく、ひとつのメタファーとして解釈。それはブランドを支えるクラフトの象徴でもあり、職人たちとの協働や交流を示唆する言語でもある。コンセプトと美学は、イタリア人デザイナー、ブルーノ・ムナーリが1963年に手がけたジェスチャーの辞典『Supplemento al Dizionario Italiano (イタリア語辞典の補足)』にオマージュを捧げたもの。ときに、言葉以上に雄弁な身体表現。とくに、手の所作。クラフトもまた、手仕事という、職人たちの言葉なき言語の現れだ。
ジャック・デイヴィソンが撮影し、レニオ・カクレアが振り付けを手がけたキャンペーンには、映画、アート、音楽などのさまざまな分野のクリエイターが参加した。
イントレチャートの制作には、数時間、ときには数日かかる。フェットゥーチェと呼ばれる細いレザー紐を手で 編み上げていく工程は、粘り強さと高度な技術を必要とする。イタリアに古くから伝わる編み方の伝統と、 〈ボッテガ・ヴェネタ〉発祥の地ヴェネト州のレザーワークの知識や経験が融合して生み出されるのだ。革新的な斜め編みと緻密なプロポーションによるエレガンスが、身につける人の日々に寄り添う。そして、その人のジェスチャーを美しく演出していく。
一人または二人の人物を捉えた構成で展開される写真群は、作り手と使い手、アーティストと職人、手と心の対話を演出していく。その対話について深掘りしたのが、キャンペーンのショートフィルム。職人たちとクリエイターたちが語り合い、文化や慣習の枠を超えて「手」がコミュニケーションにおいて、そして、ものづくりにおいて果たす役割を探っていく。
アトリエのなかで生まれ、変化し、磨かれてきたイントレチャート。50年目に生まれたキャンペーンとともに、「手」が織りなす創造性を考えたい。
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Text_Motoko KUROKI