創作のアイデア、生きるヒント、背中を押してくれたフレーズなど。八木莉可子の“今”につながる大切な存在とは?
俳優・八木莉可子に聞く、あなたのミューズは誰ですか?
muse
スパイダーマン
飾らずにただ人々を守る
“共感できる”ヒーロー像
「世の中をほんの少しでも明るくできる存在でありたい」と話す八木さんを鼓舞するのが、スパイダーマンのひたむきな姿だ。
「きっかけは『スパイダーマン: ホームカミング』(17)。普段は平凡な学生が大勢を助ける、その意外性に感動しました。さらに彼は戦っているときもユーモアを忘れない。以前大学の教授が、“ユーモアには、物事の垣根をすり抜ける力がある”と語ってくれて。冗談を交え、敵・味方の区別を超えて結果的に皆を幸せにしようとするスパイダーマンの姿勢が重なるんです」
シリーズにハマったあと、試しに他のマーべル作品もチェックしたという。
「例えばアイアンマンは“完成しすぎている”と感じたんです。スパイダーマンには未熟なところがある。けれど、それゆえの飾らなさが魅力なのだと再認識しました」
大学の卒業論文でも、社会を映す存在としてのスパイダーマンを主題に。中学生のときから出演する側でいたからこそ、メディアが与える影響に興味を持ってきた。
「時代に合わせてたおやかに変化していく主人公像も魅力。スパイダーマンは、大切な人を失った少年が悲しみを糧に活躍する設定です。けれど最近はそうした影のある部分や自己犠牲的側面が弱まり、セルフラブの文脈も織り込まれています。昨年公開のアニメでは主人公のメンタルヘルスにも焦点が当てられるほど。その流れがうれしい。というのも、私自身が自分を責めがちな性格で。誰かのプラスになりたい分、失敗すると落ち込んで負のスパイラルに。そんなとき新しいスパイダーマンを観て救われました。結局、自分が幸せでいてこそ人を笑顔にできる。スパイダーマンは人類のために力を使いますが、私も人類の一員だし!と思うことにしています(笑)」
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八木莉可子
やぎ・りかこ>> 滋賀県出身。14歳でのデビュー以来、その透明感で幅広い層を魅了。2022年にNetflix『First Love 初恋』で主人公の若き日を好演。現在、日本テレビ系『アナザースカイ』MCを務める。
Photo_Saki Yagi, Aflo Styling_Sumire Hayakawa Hair&Make-up_Momiji Saito Text_Motoko Kuroki