『キングオブコント2024』でチャンピオンとなったラブレターズ(塚本直毅:左、溜口佑太朗:右)。前編では現在につながる不遇の時代の活動について語ってもらいました。後編では二人の生み出す多彩なコントがどう生まれているのか、芸歴を重ねた二人の関係性の変化について聞きました。
3万円のカツラが1000万円になって返ってきた。ラブレターズのコント作り
二人がノってできることが
いちばん重要
──ラブレターズのコントは、『キングオブコント』決勝で披露したどんぐり(『光』)のようにふたりともボケていないものもあれば、どちらかがちょっと変わった人であるものもありますよね。それもどちらと固定されていませんし、初期の決勝で披露したような歌ネタやリズムネタも多くあります。塚本さんの中でいくつかのパターンがあるのか、それとも毎回ゼロから考えているのか、どちらでしょう?
塚本 パターンは特になくて、やりながら増えていったんですよね。僕らが芸人を始めた頃って、「この人たちはしつこい系のネタ」「このコンビは歌ネタ」とか分類しやすい人たちも多かった。だから、固めたくないという思いは強かったです。役割を決めると行き詰まるだろうと。溜口さんが歌えるから歌ネタも作りましたけど、2011年の決勝で披露した「西岡中学校」のネタも、そもそもは「ふだん絶対やらないネタをやる」という企画ライブで生まれたものなんですよ。そういう外的要因で増えていくのもありますし、溜口さんの「こんなネタをやりたい」というリクエストに応えて「意外と形になるな、こっち系もあるんだな」と広がっていったものもありますし。
──溜口さんは、塚本さんが作ったネタを全部受け入れる?
溜口 受け入れる時もあれば、突っぱねる時も(笑)。僕、お笑いをめちゃくちゃ観て育ったわけじゃないので、塚本さんがやりたいことを理解できないときがあるんですよ。角田(晃広、東京03)さんのお芝居を見せてもらって「こんな感じをこの台本でやりたいんだよ」と説明までされたのに、面白いポイントがわからなくて台本の段階でボツにしてしまったこともあったし。やってみてすごくスベるネタとかは、たぶん僕が理解できなくて、100%出せない、ノれない台本だったりする。でも、最近はもう塚本さんが僕の顔色を見てくれて、ノるような台本を塚本さんが書いてくれている感じがあります。僕は変だったり突飛だったりするネタが好きでワクワクするから、そういうネタが増えているなと思いますね。
塚本 数年前、さらば青春の光の森田(哲矢)さんとしゃべったとき、「東ブクロに設定を投げてみて、ノらなかったら全部やめる」と言っていたんですよ。さらばさんでさえそうなら、僕らもそうするべきだなと。どんなにいいネタでもノッてなきゃやっていて面白くないんだから、二人ともがノれるネタを探しているところはありますね。
溜口 そう。昔は「わかんなくてもやって」と言われて、僕の機嫌がちょっとだけ悪くなって、ケンカになっちゃうこともありました。……こう話すと、ネタ書いてもらって何様なのって感じですけど(笑)、塚本さんが大人になってくれて、うまくいくようになった気はします。『キングオブコント』の2本目(『Youは何しに海岸へ?』)でやったキャラクターも、僕がふざけてやっていたら、塚本さんが「それ面白いね」と広げてくれたもので。
Photo_Hiromi Kurokawa Text_Fumie Tsuruki