“男らしさ”にとらわれた登場人物の苦悩を見つめた映画で、カンヌ国際映画祭などにて評価されてきたジェフ・ニコルズ監督。その系譜に連なる「究極の例」だと話すのが、最新作『ザ・バイクライダーズ』(11月29日公開)。『エルヴィス』のオースティン・バトラー、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のトム・ハーディといった人気キャストが揃い、60年代の荒々しいバイカーたちの美学を、時を超えて現代に解き放つ意欲作だ。ブロマンス感も漂うその世界を解説してもらった。
💭INTERVIEW
バイクと絆と欲望、ホモソーシャルな世界を女性が見たら
映画『ザ・バイクライダーズ』ジェフ・ニコルズ監督にインタビュー
——この映画は“男らしさ”の考察ともいえます。ホモソーシャルな集団であるバイカークラブ、ヴァンダルズの物語を、女性であるキャシー(ジョディ・カマー)の視点から描いたのはなぜですか?
映画のインスピレーション源であるダニー・ライオンの写真集に由来しています。この本にはいくつかのインタビューが載っているんですが、キャシー本人のインタビューが一番面白かったので。他の誰より洞察力に富んでいて、内省的で、明らかに真実味がありました。彼女は(劇中ではオースティン・バトラーが演じている)ベニーの妻として仲間内にはいたけれど、女性がゆえに常にアウトサイダーでもあった。そんな彼女の視点をとることは、神話化されたサブカルチャーを検証するのに適切な方法だと思ったんです。日本でもそうだと思うんだけど、サブカルチャーは一種の観念として確立していて、バイク乗りたちもその一部をなしています。でもキャシーは彼らを文化的な象徴としてだけでなく、人間として語っていました。
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Text&Edit_Milli Kawaguchi