東京と一口に言っても、見せる表情はバラバラ。人懐こいカフェ、カルチャーが凝縮した土地、エッジの効いた個人店、プロが通う問屋街。4人の思い出が詰まった場所を訪ねました。#ここが私の東京
俳優・日高由起刀の東京、思い出が詰まった場所。学芸大学「暇を売る店」
俳優・日高由起刀
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暇を売る店(学芸大学)

ユニークな名、紫煙がくゆるいぶし銀の内装。日高さんが選んだのは、激渋な喫茶店だ。
「僕、東横線沿いが好きなんです。自宅が横浜にあったので、高校がある池袋まで通学で使っていて。降りたことのない駅に降りてみたい、という衝動があり、よく途中下車していました。そこで遭遇した、色や角度にゾクゾクする街角の“変な写真”を撮るのが趣味なんです」
学芸大学駅に近い同店にも偶然訪問した。
「昨年秋に初めて入ってみたら、常連さんに『かっこいいね』と言ってもらって。年上の方に褒められるのが初めてだったのですごくうれしかったのを覚えています。店前にコインランドリーがあるのも昔っぽい雰囲気でいい。自分みたいな年齢のお客さんは少ないので、勝手に可愛がってもらっている感じ。お店のみなさんで世間話をしているのもホッとしますね。これから通い詰めたいです」
性格的にいろいろな場所に行きたいという。大学進学後には、実家を出て東京のさまざまな街で一人暮らしを経験した。
「ずっと横浜に住んでいたので、自分の想像していた東京よりいろんな面があることに気づきました。あったかい場所があるんだなと」
あたたかさを求めて、対面での会話を好む。
「コンビニもセルフレジではなく、対人カウンターの方が好きです。“人と話したい”という思いがつねにあるので。今の東京でそれができるのが、この喫茶店の一番の魅力です」
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暇を売る店(学芸大学)
映画業界で働いていたマスターが切り盛りする、今年創業40年の喫茶店。ナポリタン、ビーフカレー、アルコールなどメニューが豊富。
>> 住所_東京都目黒区鷹番3-6-6
tel_03-3715-6037
営業時間_11:00〜20:00
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日高由起刀
ひだか・ゆきと>> 2003年生まれ。大阪府出身。演技未経験ながら映画『HAPPYEND』(空音央監督)でスクリーンデビュー。3月27日より初舞台『地図にない』(玉田真也作・演出)に出演。日本と韓国を拠点にモデルとしても活動中。
Photo_Naoto Usami Styling_Natsumi Ogasawara Text_Mika Koyanagi