東京と一口に言っても、見せる表情はバラバラ。人懐こいカフェ、カルチャーが凝縮した土地、エッジの効いた個人店、プロが通う問屋街。4人の思い出が詰まった場所を訪ねました。#ここが私の東京
ファッションエディター栗山愛以の東京、思い出が詰まった場所。渋谷「High and Seek」
ファッションエディター栗山愛以
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High and Seek(渋谷)

「出不精でほぼ出歩かない」というプロフェッサー栗山が“東京で面白い場所”として挙げたのが、夏川イコさんがディレクターとバイヤーを務める「ハイ アンド シーク」だ。
「スタイリストの飯田珠緒さんに教えていただき、2015年にGINZAのアンケート取材をお願いしたのが出合ったきっかけ。当時〈ヴェトモン〉が脚光を浴びていたのですが、このお店ではどこよりも早く取引していて、すごいな、と信頼するように。翌年、ginzamag.comで私のインタビュー連載が始まった時、初回のゲストとして出ていただきました」
パリファッションウィークの取材を10年間続けるプロの目から見た同店の魅力は?
「夏川さんのきちんとモードを見ていらっしゃるところ。ファッションが好きで、コレクションはもちろんチェックして。買い付けも、試着して厳選した上で、デザイナーのインタビューを読んで共感できないと取り扱わないほど、徹底しています。今日身につけているイヤカフとベルトは〈ディヘラ〉のものですが、その存在を知ったのもこのお店です。一方、〈コッキ〉など日本のブランドも押さえていて、偏っていないのが興味深い。私はとにかく新作の服が好きなので、便利でなんでもある東京が一番いい。それでも新しいブランドを見つけるのは大変。『ハイ アンド シーク』に来るといつも発見があるので、店舗がなくなったら少し困りますが、陶器を作る予定という夏川さんの今後も期待しています」
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High and Seek(渋谷)
〈フォーム〉〈メリル ロッゲ〉〈ネリ〉〈デニスコロン〉などディレクター夏川さんの審美眼で選ばれたブランドが並ぶ。惜しまれつつ4月にクローズする。
>> 住所_東京都渋谷区渋谷1-3-18 ビラモデルナC408
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栗山愛以
くりやま・いとい>> 1976年長崎県生まれ。今号ではP.114の編集を担当。GINZA iDでは「プロフェッサー・栗山愛以をつくるもの」配信中。「『いま東京がイケてる』と世界中が思っているので、読者のみなさんは誇りに感じてほしい」
Photo_Naoto Usami Text_Mika Koyanagi