今はお金がなくたって、諦められない夢があるから頑張れる。憧れに向かってパワフルな日常を駆け抜けるレディ。それでも「本当に私の夢は叶えられるのかな?」とか、ふと不安になる瞬間があるのも嘘じゃない……多くの成功者を目にしてきた経済評論家の加谷珪一先生に、3度の転職を経た編集Sが女性のキャリアとお金にまつわるリアルなアドバイスを聞くこの企画。今回は、現状では物足りなくなってきた加奈さんについて。フリーモデルとしてSNSを中心に活動の幅を広めていますが、本人はモデル以外の道を考えているようです。
今の人生から次の一手を考えたい! すぐにできる価値観の転換:お金に愛される夢の叶え方

編集S:何か夢を追うとかやりたい事を追求するって青臭いかもしれないけど、大事なことですよね。その一方で、日々の生活のやりくりや将来のこととか、現実的な話が絡んでくるとそうは言っていられないのも分かります。
加谷:今の若い人たちって、バブルで日本全体が「超好景気!」というお祭り状態を味わったことのない世代です。将来に期待を持てないせいか安定を求めるムードに包まれています。でも、それって勿体無いことです。何度も言っていますが、若いうちのチャレンジはじゃんじゃんするべきです。40代になったら、大体は勝負がついているので、目標に向かって成功のための土壌づくりができるのは若いうちの強みですから。
編集S:今回取り上げる加奈さんは、20代のうちにかなりもがいて、モデルになりたいという目標に対し行動してきたようです。モデルの収入は度外視で、生活費を稼ぐためにバイトすることも嫌わず、一方でしっかりSNSを駆使しながらやりたい仕事に近づくために自ら売り込んだり。加奈さんの情報がこちらです。
今のままじゃ物足りない!キャリアの活路を考えたい加奈さん・29才(仮名)
「関西でモデル活動をしていましたが、3年前に一念発起して上京。京王線で都心から30分弱のところで一人暮らしをしながら、モード系の誌面を飾るようなモデルを目指しています。最初は事務所に入っていましたが、今はフリーなので、インスタの運営を頑張ってフォロワーも結構います。DMの問い合わせに自分で対応しつつ、やりたい仕事のイメージに近いような作品撮りをして売り込みをしています。ただ、30歳を前にして、今までの“モード系のモデルになりたい”という漠然とした夢だけじゃなく、もっと違うビジネス的な成功も目指したい、と考えるようになりました。これまでの活動をベースにキャリアの活路を模索しています」
時代に合わせて価値観の転換をしましょう
加谷:現状はまだ大変だと思いますが、見込みはあると思います。夢のある業界で花開くためには運もあるかと思いますが、少なくともインスタで一定数のフォロワーがいるわけですから、これを利用しない手はありません。
編集S:では、状況を上向かせるため今できることは何でしょう?
加谷:ズバリ言うと、まずやるべきことは価値観の転換です。著名雑誌で活躍するモデルは、この職業の王道かもしれませんが、時代は確実に変わっています。
デジタル技術が今まで以上に進むことを考えると、個人でも活動できるSNSやネットの世界で注力して頑張ることは、時代の大きな流れにもフィットする。成功のチャンスが少ないムーブメントの中で勝負するより、時代の「流行」に合わせれば絶対的にチャンスの機会もインパクトも増える。経営でも、リソース(ヒト・モノ・カネ)を最適な箇所に投入することが求められます。この「最適」というのは時代によって変わるのです。
編集S:確かにビジネス的に考えれば、これまで築いたベースを最大限利用するのは、闇雲に新しい分野に手を付けるより現実的ですよね。個人で動き始めるとなると、リソースも自分の体と時間に限られているわけだし。
加谷:これからは単なるモデルとしてだけ活動するのではなく、フォロワーが加奈さんに何を求めているのかを真剣に考え、それをネット上で提供していくことを真剣に考えた方がよいと思います
自分のフォロワーやファンの人たちが、ファッションのアドバイスが欲しいのか、生き方全般を応援してくれているのか、悩みを相談したいのか、あるいは、髪型やメイクでアドバイスが欲しいのか、などなど、インスタベースであればユーザーの声も拾えるし、何らかのビジネスにつなげられるヒントがあります。
ネットでの活動と割り切れば、裏で生活費を稼ぐためにバイトをしていても、問題ありませんし、バイトも、ネイルなど、関連するものであれば、一石二鳥でしょう。
編集S:加谷さんは私にも言ってくれました。20代のうちは何でもやれ。死なないんだから、だいたい何をやっても大丈夫!って。自分の将来に他人は責任持ってくれないですからね。やらない言い訳を探して同じ場所にとどまっていたら、いらないストレスも溜まりそう。自分がレベルアップする事で人間関係のストレスから解放される事だってあるし、未来を切り開く行動をし続けることが好循環を生むんでしょうね。
加谷:あと、ネット上で戦うとなると心無い批判的なメッセージをわざわざくれる人もいますが、SNSのクソコメントも一切、気にしなくていいです。というよりも、こうしたクソな批判を跳ね返せないと、この仕事は続けていけません!
厳しいようですが、加奈さんに才能があると思えばこそのアドバイスと思ってください。景気が悪いとか、老後が不安だとか暗いニュースに引っ張られなくていいのです。迷った時こそチャンスだと思って、ポジティブに。選択肢がたくさんある良い時代なのですから、何でも「選択できる自由」を存分に楽しむくらいの気概でいきましょう。
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加谷珪一
経済評論家。仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。経済、ビジネス、マネー、政治、ITなどの分野で執筆を行っており、多くの媒体で連載を持つ。「加谷珪一の分かりやすい話」にて、お金から社会問題まで、日々情報を更新中。