彼の好物は牛乳。特に白米と合わせるのがいいという。え、ごはんと一緒に飲むんですか?
「小さい頃よく飲まされませんでした?給食とかで。だからです。つめた〜いごはんと合わせて飲むのがいちばんいいんすよ(笑)」
そして、彼の趣味は服作り。パタンナーの友だちに影響され2〜3年前からハマっているという。それって自分で縫うってことですよね?
「それがやりたくて服を作るというか。縫う行為が好きなんです。生地を買ってきて、パターンを決めて、裁断して。タッタッタッタとミシンで縫ってる時間が好き。それ以外のことを考えなくなるから。人間の脳は優秀だから同時にいっぱい考えちゃうじゃないですか。特に、お芝居をやってると他人の人生のことばかり考えてしまうから、自分であることや自分自身の感覚すらなくなってくる。そういうことを全部無視して没頭できるから好きなんですよね」
心に闇を抱える少年だったり女装する大学生だったりイケメンだったり売れない芸人だったり。圧倒的な演技力で「カメレオン俳優」の異名をとる菅田将暉さん。今度はミュージシャンとしてアルバムデビューを果たす。石崎ひゅーい、amazarashi、忘れらんねえよ、黒猫チェルシーら個性的なメンバーとともにアルバム『PLAY』を制作。変幻自在な彼自身を表すように、さまざまなタイプの曲が並ぶのが楽しい。ラストにはフジファブリックの名曲「茜色の夕日」をカバー。フジファブリックが音楽の原点ですかと聞くと意外な答えが返ってきた。
「『共喰い』という映画の現場で出会ったんです。それまで僕、音楽をまったく聴いてなかったんです。携帯に1曲も入ってないし」
え?音楽はあんまり聴かなかった?
「あんまりというかゼロです。音楽は好きじゃなかった。興味がなかったんです。大きな音はうるさいぐらいに思ってて(笑)。そんな中、『共喰い』を北九州で撮ってたんです。夕陽がきれいな現場で。そのとき、『茜色の夕日』を教えてもらって。それをその場で聴いたとき、いろんなものが見えたんです。景色がぶわーっと浮かんで。志村正彦さんの詞が上京組には結構たまらないワードだったんで、当時の自分の気持ちとバチッとハマって。そこからフジファブリックを聴くようになって。だからここ5年くらいです、音楽を聴くようになったのは」
その後、さだまさしの自伝的小説をドラマ化した『ちゃんぽん食べたか』でギターを習得、映画『何者』でバンドマンを演じライブの楽しさも知ったという。しかし、器用ですよね、ミシンにしてもギターにしても、のめり込むとすぐものにするという。
「細かい作業を習得するのが好きなんです。できないことがあるとハラ立つし(笑)。とにかく自分が変化していくことが好きなんです」
じゃあ、菅田将暉の今後はどうなるでしょう?目指すのはオールラウンドの表現者?
「あんま、そこは興味ないっすね。肩書きとかも気にしたくないし。ここまでが遊んでいい場所だよ、それ以上行くと死ぬよ、と言われれば、そこまでしかいけないような気がしてしまうじゃないですか。でもホントに死ぬかな?って思ってたほうが幅が広がるというか。だから先のことは考えない。そのときそのときでやっていって、気づいたらこんなカンジになりましたっていうのがいいかな。まだ人生を決めるのは早いですしね。25歳だし。この先一体どうなるんでしょうね?ってほうが楽しいでしょ」
ちなみに、今日はおかっぱ髪ですね。一瞬、かわいい女の子が来たと思っちゃいました。
「世の中刈り上げスッキリ時代なんでね。もうよくね?って。ちょうどいいダサさがいいかなって。照れますから、カッコつけるのは」