世界的な観光地であり、女子の永遠の憧れ、京都。この街にお引越ししたライターYが、ストリートから神社仏閣まで、初心者目線で見つけた気になるモノやスポット、イケてる人たちなどなど、フリースタイルでご紹介します。前回は〈朝ごはんとホテル〉。
ライターYの京都通信 チャリで回って見つけた素敵なモノVol.12 〈珈琲み空〉

私にとってカフェは、社会と自分をつなぐ場所だ。人の声とコーヒーの香り、カップがカチンとぶつかる音なんかでぼかされた空間に、ちょこんと座って一息つく。そうすることで、この世界に属してる感に浸る、というか。カフェブームの洗礼を浴びた世代なので、この習慣はもうずっと身に染み付いているし、家で仕事が捗らない体質だから、ラップトップを持ち込んで軽く作業をすることも多い。気がつけば自宅と、どこかのお店の往復しかしない日もある。
今住んでいる岡崎界隈には、おなじみの大手コーヒーショップもあるし、おそらくもう何十年も変わらず営業している昭和な喫茶店もちらほら見かける。私が時折足を運ぶのは、個人店が多くてのんびりした雰囲気の仁王門通にある〈珈琲み空〉。ホルモン焼店を間借りして日中だけ開く、ある意味とても京都らしいお店だ。
コーヒーが美味しいのはもちろんなのだけれど、店主の人柄が表れたような、ほんのりとした緩さが好き。もともとのお店の空間に、「み空的」な目線で選んだものが控えめに置かれているバランスも心地よい。心地良いから喋りすぎて、その時抱えている仕事のことなんかをついペラペラと話してしまったりもするのだけれど、そうやって気を許してしまうお客さんが多いのか、石倉さんは意外と情報通だったりする(笑)。
この街に移って丸2年。正直まだまだよそ者的な感覚でいるけれど、たまに一息つける場所があるだけで、ちょっとだけ地元の人になれたような気持ちにもなれる。そんなこんなで、私の京都暮らしはゆるやかに続いていきそうです。
珈琲み空
🗣️
Hiroko Yabuki
エディター・ライター。『POPEYE』『BRUTUS』などで編集・ライティングを手がける。通訳案内士のラインセンスを持ち、海外アーティストのインタビューや撮影コーディネーションも行う。