ロンドンを拠点として活動する、ヘアデザイナーの小戸紀代子さんが気になるアーティストとコラボし、その人らしさをカットやアレンジで表現する連載。今回は特別編ということで、コレクションの舞台裏とデザイナーインタビューをお届けします。
ヘアデザイナー小戸紀代子の“WHO ARE YOu ?” vol.5 特別編
小戸紀代子 × Chopova Lowena @ロンドンコレクション

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Chopova Lowena
Emma Chopova (エマ・チョポヴァ)とLaura Lowena (ローラ・ロウェナ)が立ち上げたブランド。
今回は、2024年春夏のショーで私がヘアを手がけた〈チョポヴァ ロウェナ〉 のデザイナーふたりに、インタビューしてきました。それとともに、彼女たちのショーで作ったヘアについてもお伝えします。
初めて彼女たちのコレクションを見た時の衝撃をよく覚えています。個人的に思ったのは、洋服のジャンルがはっきり分からない。ジャンルはチョポヴァでしかない。
その作品は、ヴィクトリアン/スポーツ/ブルガリアン?衣装/emo/ロリータ/パンク/山ガール/メタルバンド/KAWAII…などなど。挙げたらキリがないほど色んな要素の破片が散りばめられているので、どんな人でも不思議とフィットして着こなせちゃう! そして服の見え方が着る人のキャラクターによって変化するから、それを増強していく重要な役割を担っている“ヘアスタイル“を決められる私としては、とてもやり甲斐のある楽しい仕事です。
さて、今回のショーにはストリートで声をかけられた個性豊かな42人のモデルが集結しました。そのひとりひとりを見て、服との共通点を探し強化していくという方法でスタイルをどんどん作っていきました。
例えば、PUNK/SEXY ROCK/伝統衣装を着ている町人/オルタナ/エイリアン/絵画の中の人/メラコリン星/原宿/emo……(笑)。こんな感じで直感的に沸いたイメージをそのままデザインに落とし込んでゆき、“チョポヴァ ロウェナ国”の住民を作っていく感覚です。ただ全体のテーマとして1つ頭に置いていたのは「メタル×ヴィクトリアン」。
Text_KIYOKO ODO
Photo(model)_ Jackson Bowley