シャルル・ムンカの新作個展「Tameshigaki (lignes de vies)」が東京・渋谷の「INS Studio」にて開催。2023年6月30日(金)から7月16日(日)まで。「ザ・コンランショップ代官山店」でも同時期開催され、その後「i GALLERY OSAKA」にて巡回予定。
文具店の「試し書き」を着想源としたシャルル・ムンカの個展開催
佐渡在住のフランス人アーティストが、日常のオブジェクトをアートに昇華。
アノニマスで、なんの意図もない行為の重なりが、なぜか目を引くことがある。筆記用具売り場の試し書き用紙はその最たる例かもしれない。
アーティストのシャルル・ムンカは、日常の中で見つけたそんな不思議な存在をアートに昇華した。フランスの芸術学校をドロップアウト後、本当に自分にフィットする場所を求めて各国を放浪。香港や東京などのメガロポリスを経験し、数年前に佐渡に移住した。豊かな自然に囲まれ、なお「異邦人」としての自身に向き合いながら主にペイティングを制作する。
芸術運動「具体」にも影響を受けたというムンカが挑むのは、日常生活と美術活動との共鳴。画材店よりも卑近な場所である事務用品店に通い始めた。そして、旅先や佐渡で、ペン売り場の試し書き用紙を蒐集するように。どこかの誰かが戯れに書いた線や変哲のない言葉がランダムに集合する白い紙。なんの意味も見出されずに捨てられていくであろう紙を、その判別不能性ゆえに日常の確かな「印」とムンカが見たところから、本シリーズは生まれた。
制作プロセスの主軸は、サンプリングとリミックス。元々、ゲーム業界でのデザイナー業などさまざまな職を経験してきた彼ならではの発想かもしれない。これまでの活動でも用いてきた「拓本」的手法によって、試し書き用紙をトレース。そして、DJが複数の曲を重ねていくように、幾つもの筆跡を組み合わせ直した。
「Tameshigaki」は、日常生活の中に実存するものに根ざしながら作られた、全く別の世界。ちなみに丸括弧で括られた展示副題は、フランス語で「命・生活の線」というような内容だ。そこにある線や図形に意味は求めない。ただ、目の前に現れた世界に身を浸してみたい。そんな気持ちになる展示だ。
ℹ️
【Charles Munka "Tameshigaki (lignes de vies )"】
会期: 2023年6月30日(金)〜7月16日(日)
会場: INS Studio
住所: 東京都渋谷区円山町28-8 B1F
時間: 12:00〜19:00
*月火定休
【同時期開催】
会期: 2023年6月30日(金)〜7月18日(火)
会場: ザ・コンランショップ代官山店
住所: 東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟1F・B1F
時間: 11:00〜18:00(土〜19:00)
*水定休
【巡回】
会期: 2023年7月28日(金)〜8月20日(日)
会場: i GALLERY OSAKA
住所: 大阪府中央区南船場3-8-14 Acn心斎橋Garden 1F
時間: 12:00〜19:00
*月火定休
Text: Motoko KUROKI