創作のアイデア、生きるヒント、背中を押してくれたフレーズなど。UDAの“今”につながる大切な存在とは?
メイクアップアーティストUDAに聞く、あなたのミューズは誰ですか?
muse
山口小夜子
常に表現の根底にある
“美しさの原点”を想起させる人
きっかけは、コスメティック界に革命を起こした伝説的なディレクター。
「18歳のときに出合った、セルジュ・ルタンスがつくるファンタジックな世界観に衝撃を受けました。20歳で〈ジバンシイ〉に入社してからは、渋谷西武の書店で彼のアートブックを眺めるのが昼休みの日課。その中で知ったのが、山口小夜子さんです。同じ日本人であることを誇りに思ったし、神秘的で妖艶な美しさにとにかく魅了されて。メイクをする上で、自分が表現する女性像はわりと古風なことをベースにしています。でも一方で、そこに縛られない自由さも併せ持っていたい。その対比が鮮やかであるほど魅力的だと思いますが、まさにその原点にいるのが小夜子さんなんです。あとから考えると、普段から綺麗にアイラインで目を囲っていた母親を見てきたし、大好きだった松本零士のアニメで観た“女王プロメシューム”はルタンスが描く女性そのもの。そういう幼少期の記憶も結びついているのかもしれません」
20年近く前、幸運にもご本人と直接お会いする機会があったそう。
「予想に反して、とても愛らしい少女のような佇まいに驚き、誰もが惑わされて当然だなと納得しました。実は、俳優の小松菜奈さんにも初対面のときから近い印象を抱いています。その想いをより実感したのが、23-24年秋冬の〈シャネル〉のティザー動画。ああ、次世代の小夜子さんだ、と震えました。そういう風に、海外に誇れる日本人の美しさを目の前にしたとき、いつもそれが頭の片隅にある小夜子さんのイメージに重なる。そういう存在を“ミューズ”と呼ぶのであれば、僕にとってのミューズは間違いなく彼女なのだと思います」
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UDA
ウダ>> 小誌連載「CANVAS」や著作『kesho:化粧』、関連書籍『粧紙-mekashi』など、和の概念から発想する新感覚のメイクアプローチにファン多数。mekashiproject.stores.jp
Photo_Shiori Ikeno, Aflo, Getty Images Text_Kanako Uchida