世界的な観光地であり、女子の永遠の憧れ、京都。この街にお引越ししたライターYが、ストリートから神社仏閣まで、初心者目線で見つけた気になるモノやスポット、イケてる人たちなどなど、フリースタイルでご紹介します。前回は〈珈琲み空〉。
ライターYの京都通信 チャリで回って見つけた素敵なモノVol.13〈実相院門跡〉

真夏日が続いて街中がカラカラに干からびそう。かと思えば、急な大雨で鴨川が溢れそうになったり。ここしばらく京都の空模様は、なんだか慌しい。暑さを理由に神社仏閣巡りをサボり気味だったのだけれど、先日、麦わら帽子を片手に”京の奥座敷“、はたまた“奥京都”な岩倉へお出かけ。お目当ては夏の間だけ特別に公開されるお宝と、大好きな和菓子店のスイーツがいただけるティーサロン。
まずは少しお勉強。「門跡」とは皇室との関係を表す言葉。皇族や公家が出家して住職をつとめる寺院が「門跡寺院」と呼ばれ、京都には以前紹介した青蓮院門跡など十数ヶ寺が存在する。実相院門跡は1229年の創建で、皇族ゆかりの美術品や調度品を多く所蔵している上に、数百年前の世の中をリアルに記録した「実相院日記」なる貴重な書物も。歴史はもちろん、アートやデザインが好きな人にも見応えがあるはず。
そしてもう一つ、漆黒の床に青紅葉がうつり込む「床もみじ」(床みどり)の美しさったら。京都では瑠璃光院が有名だけれど、実相院門跡はその先駆け。知る人ぞ知るスポットでもあるのだ。
京都に住み始めた頃から、iPhoneのGoogleマップ上にこつこつマッピングをしている私。実相院門跡には「いつか行きたい場所」の印を付けてもう2年くらい経っていたのだけれど、今回エイっと行ってみたのは、7月の間だけ〈⻲屋良⻑〉の特別なお菓子がいただけるティーサロンがオープンしていると聞きつけたからでもある。私は同店の銘菓「烏羽玉(うばだま)」の大ファンなのだ。
3年ぶりの山鉾巡行も無事終わって、なんとなくひと段落な京都。インバウンドの戻りはまだまだ、ゆえに街はいまだのんびりした雰囲気。由緒正しいお寺でアートにふれて、ほっと一息。そんな夏のひと時を満喫しているライターYでした。
実相院門跡
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Hiroko Yabuki
エディター・ライター。『POPEYE』『BRUTUS』などで編集・ライティングを手がける。通訳案内士のラインセンスを持ち、海外アーティストのインタビューや撮影コーディネーションも行う。