平成元年生まれのオタク女子4人組からなるグループ「劇団雌猫」が、オタク心を持つ読者の日頃の悩みをズバっと解決。応募フォームに集まったお悩みに、メンバーである、かんさん、ひらりささん、もぐもぐさん、ユッケさんが月替わりで回答します。前回のお悩みはVol.44 ただいま30歳。若いオタ友にどう思われているか気になります。
なにごとも中途半端な私。劣等感とどう付き合う?【劇団雌猫 愛と浪費のおなやみ劇場 vol.45】

質問
今月の悪友: 毎日ままなりませんさん
趣味や勉強に対する自分の中途半端さに悩んでいます。私は現在大学2年生です。20年間の人生で特別大きな挫折も、大きな成功も経験したことがなく、音楽や映画など趣味は多い方ですが、それぞれがあまりにも中途半端です。サークルでの他の人の演奏の上手さや知識の豊富さ、ゼミでのよくできた発表を聞くといつも落ち込んでしまいます。就活のこともあり、このまま中途半端に生きていてはいけないことはわかっていますが、焦るばかりで何も手に付いていません。
恋愛についても、同じサークルに好きな人がいますが、頭が良く音楽にも詳しい人なので私には釣り合わないと思ってしまいます。
これからどうするべきか、何かアドバイスをいただければ幸いです。
劇団雌猫からのアドバイス
今月の回答者:もぐもぐ・ユッケさん
ユッケ 今回はもぐもぐ・ユッケペアでお送りします!
もぐもぐ いよいよ春だね〜!環境が変わる人も多い季節だ。
ユッケ そんな中、今回は学生さんからのお悩み。私がこのお悩みについてもぐもぐさんと話したいと思ったのは、まさにもぐもぐさんが相談者さんと同じように多趣味な人だからなんだよね。ぜひアドバイスを…!
もぐもぐ ご指名ありがとうございます(笑)真面目でいいこなんだろうな…そこまで自分に向き合っていること自体がえらい。そして、20歳くらいの時期に周りにいるすごい人が目についちゃう気持ちはめちゃくちゃわかる。
ユッケ 私もわかる。大学生の時、サークルの同級生でフランス映画とかロシア文学とかサブカルチャーにめちゃくちゃ詳しい女友達がいたんだけど、その学の深さに嫉妬してたもん。
もぐもぐ フランス映画とロシア文学は手強すぎる(笑)教養や文化の違いに劣等感を抱く感じ、わかるよねぇ、みんな多かれ少なかれそうなんじゃないかな? 今振り返ると「こんなにすごい人がいっぱいいるんだ〜」と気づくことができるのはいい経験だったと思う。焦る気持ちもわかるけど「そういう時期なんだな」「どうもみんなそうだったらしいぞ」とちょっと俯瞰で捉えられたら少しは気が楽になるかも。
ユッケ 大学っていろんな人がいるから、一気に世界が広がるよね。
もぐもぐ そうそう、だから刺激があるのはむしろいいことで…大学でたくさん心折れておいてよかったよ、私は!(笑)ちなみにユッケさんは、その嫉妬心とどう付き合ってたの?
ユッケ 当時は嫉妬とか劣等感を抱えたまま「結局わたしは特別ではない平凡な人間なんだ…」と思って生きてた。でも、大学卒業して社会に出たらもっといろんな種類の人に会って、少しずつ考え方が変わっていったの。
もぐもぐ へえ〜〜!どんな風に?
ユッケ 自分が普通だと思っていたことが他の人から見たら特別なこともあるし、完璧に見えてたサブカルに詳しい友達にもコンプレックスとかあったのかも、と思えるようになった。
もぐもぐ それはそうだよね、コンプレックスがない人はいないもんな。大学って年齢も近いし、サークル仲間となるときっと趣味嗜好が似ている人も多いからどうしても比べちゃうところはあるだろうね。たしかに働き始めてからはそういう悩みは徐々に減っていったかも。
ユッケ 大学で世界は一気に広がるけど、社会に出るとさらに広がる!あと、相談者さんは違うかもしれないんだけど、昔の私は人に対して「それ教えて」って素直に聞くのがすごく苦手だったの。なぜなら私は地元では頭も良く、いろんなことを知っている神童だったから……。
もぐもぐ (笑)。でもわかるよ!そういう時期!若いし、どこかで「負けたくない!」みたいなプライドがあるから、知ったかぶりしちゃう感じね。知らないフランス映画なのに「あ〜あれね」って話合わせちゃう的な……。
ユッケ そうそう。でも、東京には地元の何百倍も知らないことがあって。サブカルに詳しい友人にも、嫉妬とか知ったかぶりとかせずに「その映画知らないから教えて」って素直に言っておけば、もっと仲良くなれていたのかなーと思ったりもする。
もぐもぐ いい話!人に素直に聞くのは超大事なことだよね。大人になってからはさらに。
ユッケ 「何にも詳しくない」ということ自体は何も恥ずかしいことではなくて、少しでも興味があることがあったらそれに詳しい人の話を聞いてみるっていうのを意識してやってもいいかもしれない。
もぐもぐ そうだね!「もっと知りたい!」とか「上手くなりたい!」って思えるのは素晴らしいことだ。
ユッケ まさにもぐもぐさんって、いろんなジャンルで詳しい人にたくさん話を聞いて好きになってるイメージがある。
もぐもぐ たしかにそうかも。周りに頼りまくってなんとかしてきた(笑)
ユッケ それは、自分から聞きに行って仲良くなるの?
もぐもぐ そうだね、自分から。私は逆にあんまりオタクカルチャーやエンタメをそれまであんまり知らなくて、ハマりはじめてからは見るもの聞くもの全部新鮮!って感じだったな〜。そもそも無知だから教えてもらうことに抵抗なくて、「あの〜、教えてくれませんか」「今度現場行く時は連れてって〜」とか貪欲にお願いしてた。やっぱりオタクは布教が好きだし、大体の人は親切だよ!
ユッケ 好きなものの話を聞かれて嫌な気持ちになる人はいないよね。
もぐもぐ 仕事とかでもそうだけど、半端な知識でマウントとろうとするより「知らないことは教えてもらおう」という姿勢の方がお互い幸福になれるのは間違いない。「中途半端は良くない」というよりも「知らないことを恐れないようにしよう」と思えるとハッピーかも。
ユッケ それこそ、相談者さんが好きな人にも「よく知らないから教えて〜」って言って仲良くなるのもありじゃない!?
もぐもぐ 超あり!むしろきっかけにするチャンス!好きな人の好きな音楽を聞くとか、素敵な青春じゃん…。
ユッケ その青春、今からでもいいからやりたい。好きな人の好きな音楽が詰まったMDとか!借りたい!!
もぐもぐ 手書きで曲目書いてくれてるやつね。「ユッケ’s Favorite vol.1」的な(笑)
ユッケ ぎゃー!懐かしすぎて発狂するわ。って、他人の恋バナで勝手に盛り上がってすみません(笑)。でもほんと、勉強もサークルも恋愛も「知らないことを教えてもらう」を意識すると良さそう!
もぐもぐ あと、さっきユッケさんが言ってた「自分が普通だと思ってることが実は意外と特別なこともある」っていい言葉だなぁと思った。自分としては「広く浅くで中途半端だなぁ」と思っても、意外とどっちも知ってる人は少ないかもしれない。
ユッケ そうそう。新卒の時にお世話になった会社の先輩が、めちゃくちゃ仕事ができて視野が広い人だったんだけどね。その先輩はオタク気質ではないから「私はユッケちゃんみたいに好きなことをとことん掘り下げて考えられない。そういうところ尊敬する」って言われたことがあって救われたんだよね。やっぱり比べないのは大事!
もぐもぐ もうこの人には敵うはずない、完璧すぎる、完全敗北…と思うような人にも、絶対に悩みや劣等感はある。
ユッケ 他人には見えないところがたくさんあるもんね。
もぐもぐ 30代になった今、会社で大学生のアルバイトの人たちとたまに話すことがあるんだけど、TikTokの流行りとか教えてもらうのすごく楽しいし、へぇ〜!って思うことばかりだよ〜。多分相談者さんが今当たり前のように周りで共有していること、考えてることも、世代を飛び越えると目から鱗のはず。
ユッケ いい話!
もぐもぐ あとは、大人としてのアドバイスでいうと、今くらいの年齢で自分が好きだ、面白いと感じることを言語化していく能力が上がるといいかも。人に魅力を説明しやすいし、次の趣味を見つけやすくなるから!「なんで自分はこれが好き(嫌い)なんだろう?」をできるだけ突き詰めて考えるというか。
ユッケ なるほど。そういう能力、就活とかこの先の人生でも役立ちそうだなぁ。
もぐもぐ 20歳なんてまだまだ悩まなくていいよ〜と言いたくなっちゃうけど、でも実際悩んじゃうのもめちゃくちゃわかるので、そのぐるぐるした感じもいい意味で楽しんでほしいな。
ユッケ もしかしたら今はまだどっぷり好きになれるものと出会えてないだけかもしれないし。気負いしすぎずにフットワーク軽くいろんなものに触れてほしい!
もぐもぐ そうだね!今は興味を広げて、楽しんでいきましょ〜!
☆次回かん、もぐもぐが登場します☆
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