クォーター・ライフ・クライシス。それは、人生の4分の1を過ぎた20代後半〜30代前半のころに訪れがちな、幸福の低迷期を表す言葉だ。25歳の家入レオさんもそれを実感し、揺らいでいる。「自分をごまかさないで、正直に生きたい」家入さん自身が今感じる心の内面を丁寧にすくった連載エッセイ。前回は vol.20 空と青と仲良く
家入レオ「言葉は目に見えないファッション」vol.21 断捨離

vol.21 断捨離
不思議だな、と思う。
12月31日と1月1日。
たった1日しか変わらないはずなのに年を跨ぐことで、確かに気持が仕切り直され、心機一転また頑張ります、今年もよろしくお願い致します、と神社で手を合わせている自分がいるのだから。
今年は人混みを避ける為に三が日の参拝はやめておいたけれど。
子供の頃は、小学生から中学生になり、中学生から高校生になり、黙っていても、水が流れるように周りの環境が変わっていった。
私服登校が制服になり、徒歩圏内だった学校には、公共交通機関や自転車で通うようになって。
小学生の時は、学年が1つ上がるごとに100円ずつお小遣いが増えていき。
寒い日に駄菓子屋さんでお湯を入れてもらって食べたブタメン、美味しかったなぁ。
あれ60円もするから、たまにしか買えなくて。
友達とよく半分こしたっけ。
中学生になってからは、名ばかりのテスト勉強会をスタバで。
フラペチーノは必ずエクストラホイップかキャラメルソース多めで、と注文してた。
緑色のペンでノートに書いた英単語や穴埋めの日本史プリント。
赤の下敷きをスライドさせながら黙々と暗記したり、時には手を動かしたり。
放課後、友達とスタバに行ってお喋りするだけで、本当に幸せだったなぁ。
どんどん新しいものを知っていく、あの独特なパワーとスピード感を青春と呼ぶのだろうか。
そして、進むも、留まるも全て自分次第の大人になった今。
新しい2021年という年を迎え、お酒を酌み交わし、お節をつつきながら、ふと我に返ったことを、もう2月か…と思いながら、すでに懐かしく感じたりして。
上京して目の前のことに精一杯で、気づいたら2年が過ぎ、3年が過ぎ…30歳も視野に入りはじめてきた。今年でデビュー10年目…まだまだ自分の力不足を感じる日々だけれど、あれ?私最近新しいドキドキやワクワクに出合えているかな?
いつか挑戦してみたいと思い描いているヴィジョンもあるけれど、物には時節がある。それに、夢や目標ってそんなに次々に見つかったりしない気もする…よしっ!考えていても仕方がないし、体を動かそう!と年初めに行ったジム。
トレーニングを終え、トレーナーさんにストレッチをしてもらっていると。
「今年はやり遂げたいことや目標を掲げるのではなく、やらないことを10個決めました」と話しはじめてくださって。
「自分にプラスばかりしていると、気づいたら習慣だらけになって、新しいものや人が入ってくるスペースがなくなっていたりする。だから、時には断捨離することも大事だなと思って今年は敢えて、やらないことをリストアップしました」
とっても素敵な考え方で、感動した気持ちをちゃんとその場で伝えたかったのだけど。
日頃、同じ姿勢で長時間パソコンをしたり、座りっぱなしでいるせいで、固まってしまっている内側広筋をほぐしてもらう痛みに耐えながらだと、もう、なんとも情けない声しか出ず。
ふむふむと頷くだけで精一杯でした…。
交代浴をして、プロテインを飲みながら、時々夢も目標もないんです、と相談のメッセージを貰うけれど、焦らなくていいんだよって伝えたいなって。
夢はきっとワクワクした気持ちの中で見つけていくものだし、それを探さなきゃ、見つけなきゃって自分に強要すると、どんどん苦しくなる。
やりたいことが今ないのなら、逆にやらないこと、を決める。
例えば仕事以外でスマホを触らないようにしたり。
そうすると、本を読んだり、映画を観たり、また違った角度で自分を豊かにできたり、疲れたし今日はもうタクシーで帰ろうかなって時も、あえて歩いてみることで見える景色や気付けることがあるかもしれない。
何かをやり抜くこと、勇ましくいることが全てじゃない。
世の中が、変わろうとしているこんな時代の、こんな時だからこそ、肩の力を抜いて、やらないことを決めてみる、くらいの気持ちで生きてみるのも、良いかもしれない。
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家入 レオ
16thシングル『未完成』(フジテレビ系月9ドラマ『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』主題歌)のginzamagでのインタビュー:
家入レオ、愛と憎しみの区別がつかなくなった「未完成」。
leo-ieiri.com
@leoieiri