知っておきたい日本の言葉、季節のあれこれ。
ギンザ淑女のニッポン歳時記 「梅雨」の漢字の由来は?

梅雨つゆ
春から夏への季節の変わり目に来る日も来る日も雨が続く、じめっとして鬱陶しい梅雨の季節。そもそもなぜ「梅雨」と書いて「つゆ」と読むのでしょう?もともとはこの時季に雨が多く降り、湿度が高く黴が生えやすいことから黴の雨と書いて「黴雨(ばいう)」と呼び、のちに梅の実が熟す頃でもあることから「梅雨」という漢字を当てたというのが一般的な説です。そこに露(つゆ)という音を当てて読むようになったのでしょう。
今月の神様
木花之佐久夜毘売このはなのさくやひめ

桜の花のように美しい女神のコノハナノサクヤヒメは、ホノニニギと結婚して子どもを身ごもりました。ところが夫は「本当に我が子なのか?」と疑います。これに怒ったヒメは、自らの潔白を証明すべしと、お産の時に産屋に自分で火を放ち、炎に包まれながら三柱の神を見事出産しました。見目麗しくも超激情型のヒメは、のちに日本一美しい山であり、活火山である富士山の神様として祀られるようになったのです。
今月の文様小物
麻の葉紋のシャーレあさのはもんのしゃーれ
六角形の中に二等辺三角形を並べた模様が植物の麻の葉の形に似ているので、この名前があります。麻は古代から栽培され、衣服や紙の原料としてなじみ深い植物。生長が早く、あっという間に身の丈をはるかに超えるほど真っ直ぐに伸び、おまけに丈夫なので、子どもの健やかな成長を祈願して産着にこの意匠がよく使われました。また江戸時代には歌舞伎の演目に「八百屋お七」が鹿の子絞りの麻の葉模様の振袖で登場し、大流行しました。
江戸切子の技法で文様を施した麻の葉紋のガラスのシャーレ 青 ¥19,800*税込み(廣田硝子)
今月の和菓子
御所氷室ごしょひむろ
冷凍庫のない時代、氷は大変貴重なものでした。冬のうちに凍結した天然氷を、夏でも涼しい山かげに横穴を掘り茅で覆った室の中に貯蔵し、夏に宮中へ献上しました。室から切り出したばかりの氷をイメージして、すり琥珀(寒天で固めた琥珀糖を結晶化したもの)で作られた「御所氷室」は、まさに半透明の氷そのもの。中の小豆は氷に閉じ込められた梅の花を表しているとか。外側はシャリッとした食感、中はやわらかで梅酒の風味がほんのりとただよいます。
御所氷室 10個入 ¥1,458*税込み*5月〜8月の期間限定発売、本店・直営店・WEBのみ取り扱い(鶴屋𠮷信)