ときは2008年。夜ごと恋愛相談で盛り上がるブログ&掲示板があった。管理人の名は恋愛部長。あれから10年。山あり谷ありの20代30代を過ごし、自らの経験を綴り続けた彼女は、40代で結婚。二児の母となる。幸せになるためのメッセージを、同じ空の下のみんなに届ける新連載のはじまりです。
恋愛部長「大人の恋の歩き方」vol.1 三十歳が分かれ道!

30歳が分かれ道!恋とどう付き合うか
はじめまして!恋愛部長です。今日からこちらでコラムを書かせていただくことになりました。恋愛部長!と偉そうな名前ですが、実は、属性はもともと「非モテ女子」!です。若いころは、次々恋に落ちては、振り向いてもらえず、振られて引きずって、また好きになって…の繰り返し。恋の100本ノックでもやっているのか?体育会系なのか?という位でございました。
30代になってからは落ち着いて大人の恋を楽しめるように…なってりゃ良かったんですが、好きな人とお付き合いするまではたどり着けるようになったものの、結婚まではほど遠い恋愛ばかり。あっちへぶつかり、こっちへぶつかり、ようやく40にして結婚できました。
そんな私ですが、最終的に現在の幸せにたどり着けたのは、すべて、若いころから数々の恋愛で失敗してきたから!そこから学んで、自力で這い上がってきたから!だと思う。1人しくじっても、そこにこだわらずに、次へ。落ち込んでも、次こそはと、希望を持って。へこたれずにやって来るうちに、恋だの男の人だの男女関係だので、いろいろなことが見えるようになってきた。練習を積んでいくと、飛んでくる球筋がハッキリ見えるようになるって言うけど、そんな感じ?
よく思うんだけど、恋愛って、山登りみたいなもので。若いころは、ふもとのほうでヒーヒー言ってて、得体の知れないものを相手に、正しい装備も持たずに丸腰で挑んでいた。ハッキリ言って無謀。無策。あるのはもて余すほどの情熱だけ。それが、徐々に経験を積み、上のほうまで登っていけるようになると、急に、視界が開けて遠くまで見えるようになる。
その風景は、ふもとでワタワタしていた時には想像もできなかったもの。全貌が見渡せるようになると途端に、これまでの自分がいかに無策だったかもよくわかる。自分が苦しんでいた得体の知れない(と思ってた)ものの正体も見えてくる。そうなると、無駄な回り道をしなくなるし、失敗しても深い傷を負わなくなる。より高度な恋愛関係へ挑んでもいける。この恋愛という険しい山を登るには、ただ年を取りゃいいわけではなく、正しい知識と経験を重ねることも大事で。一度失敗したら、同じ轍を踏まないよう、別の道を行く!くらいの気概が必要なんじゃないかと思います。
20代は、勢いだけ、見た目やフィーリングだけでも、お互いすぐ恋に落ちれたかもしれないけど、20過ぎたら、恋のステージもレベルアップしていく気がする。そう簡単に「一目ぼれ!」「告白!」とはいかないし。相手も自分も仕事なんかで忙しくて、恋どころじゃないかもしれないし。大人ならではの「暗黙の了解」で、お互いに口に出さないでずんずん進んでいく関係だってある。ある面ではすごくシンプルで簡単になるけど、逆に、ものすごく高度なコミュニケーション力を要求される時もある。
だからね。いつまでも、「可愛いから向こうから来てくれるはず!」「告白されて素敵なデートして、お姫様のように扱ってくれる人と結婚!」とか夢見がちなこと言ってると、あっという間に、置いてかれるよ。ぶっちゃけ、可愛いだけで恋が舞い込むのは20代前半まで(もしかしたら10代まで)ですからね!逆に、20代はまるでモテなかった私のような人間も、経験を積んで失敗から学んでいけば、ちゃんと素敵な恋愛ができるのが30代!なんて素敵!30代!そもそも、いい年になると、「モテ」とかどーっでもよくなるもんです。
恋って言うのは、一対一でするものです。不特定多数につねにモテているのは、それは気持ちいいかもしれないけど、その不特定多数の中に、自分が本気で好きになれるような相手がいないのであれば、何の意味もない。ファンに囲まれてるアイドルみたいなもの。それよりも、大事なのは、たった1人、「この人!」と思う人と出会って、その人に振り向いてもらうこと。その人と、長く一緒にいる関係を築くことが、もっと大事。別に、100人に好きになってもらわなくても、ただ1人の人と恋に落ちればそれでいい。だから、モテる女子になることと、素敵な恋愛をすることって、全然イコールじゃないんですよね。
そして、素敵な相手って言うのは、万人に受ける「素敵さ」を持つ人(つまりモテる人)ではなくて、私個人が見て、素敵だと思える、奇跡の組み合わせの相手ってこと。私にだけその素敵さが分かればいい。2人の関係が、素敵であることが大事!ってこと。表面的なモテを追求するのではなく。自分のセンサーを磨いて、どんな状況にも対応できる恋愛力を身に着けて、ただ1人の相手をモノにすることが大事。
そのためには、自分の恋愛力を日々レベルアップしていくことです。つまり、山を登るのです。恋って、なにがなんだかわけがわからないから苦しいってことないですか。相手の気持ちが見えない。相手の行動が不可解。先行きが不透明。自分の思い通りにはいかない。どう転んでいくかが読めない。だから、苦しい。でもね、経験を積めば、たとえ相手の気持ちは分からなくても、相手の出方くらいは予測できるようになるものです。そして、自分自身の発想や行動をコントロールすることで、恋愛の先行きにも影響を及ぼせるようになる。
それが、「視界が開けてくる」、ということ。恋は、「わけのわからなさ」からの脱却で、ビックリするくらいうまくいくようになるものなんです。
いま、30過ぎて、「恋なんてもう無理」なんて弱気になっている人がいたら声を大にして言いたい。「ここからだよ!」「ここからが女の正念場!」グッと恋が楽しくなる年代ですから、どうか高い山を攻略する気分で、失敗をどんどん踏みつけて、肥やしにして、そこから新たなものを学びとりましょう。そして、山の上からの景色を楽しんでください。若いころには見えなかったものが遠くまで見渡せて、あっと驚くような素敵な人が、すぐそばに立っていることに気づいちゃうかもですよ!
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文/恋愛部長
20代に恋愛で失敗を繰り返したことから、様々な独自の恋愛理論を編み出し、2008年から恋愛ブログ「恋はいばら道」をスタート。過去の失敗談を披露したり、多くの人の恋愛相談に乗ったりしている。私生活では、38歳で留学を機に当時結婚を考えていた彼氏と別れ、40歳で知り合った現在の夫と結婚、出産。現在は、広告代理店で働くかたわら、1男1女を子育て中。
著書に、『28歳からの必勝ルール~恋愛部長の恋のムチ』『にっちもさっちもいかない恋がうまくいく本』(大和出版)。
Webサイト:renaibucho.com NOTE(恋愛相談):note.mu/
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アートワーク/カシワイ
装画や挿絵などのイラストレーションや漫画を描く。リイド社より単行本『107号室通信』を刊行。
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