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🎨CULTURE
女性たちの「ざけんな」の叫びを溶け込ませた表題作 高瀬隼子『いい子のあくび』
G’s BOOK REVIEW
『いい子のあくび』
高瀬隼子
20代の営業職の直子は、胸に沸き上がる大小の苛立ちを手帳に書き記している。ナチュラルにこちらを侮る周囲の人間を許さないと心に誓っている。特に我慢ならないのは歩きスマホでぶつかってくる奴ら。怒りの堆積はある日、スマホを見ながら自転車に乗っている中学生に、ぶつけられたふりをしてぶつかる行為として表出する。女性たちの「ざけんな」の叫びを溶け込ませた、呪詛は祈りでもあると気づかせてくれる表題作ほか2編。
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Recommender: 北村浩子
今月心に残った一文。《私たちは皆、自分の話を打ち明けるとき、同時にそれを隠しているのだ》(『未来散歩練習』より)