オンラインが便利になってきた世の中だけど、お店の空間には、オーナーのこだわりが詰まっている。ヴィンテージの洋服と+αな魅力がある東京の古着屋さんへ。今回は、アンティークの洋服のリペアに、力を入れている代官山の「ナチカ/natica」。
リペアや染色で新たな魅力を引き出す「ナチカ」。+αが楽しい、東京の古着屋案内
代官山と恵比寿の間にひっそりと佇む「ナチカ」は7年前にオープン。ヨーロッパ古着の洋服が中心で、仕入れ先は主に、フランス、ベルギー、ドイツ、オランダ、オーストリア、ルーマニアなど。「古着屋を始めた理由でもあるのですが、ファッションの歴史が好きで、追っていくうちに自然とヨーロッパのものに惹かれていきました」というオーナーの福田隆浩さん。アパレルでの企画・生産管理をしたり、オートクチュールの造花職人でもあった経験から、ものづくりも好きだという。「古着に興味がない方にも良さを知ってもらえるきっかけを作りたい」と、リペアや染色を施すことで日常的に着やすいよう提案している。
現代の装いに落とし込めるよう
命を吹き込むリペア方法
あたりが出ないように工夫されていたり、ボタンホールも全て手でかがられているアンティークのドレスやシャツ。昔は、破損した箇所もイギリスのダーニングのような様々な手法で修繕されていた。リペアの仕方は、買い付けた古いアイテムの痕跡から学ぶことも多々あるのだそう。「自分が着ている服が1930年〜1940年代くらいのもので、しかも、手間隙かけて作られていることを知るのは消費するより良いと思います。破けたところもデザインとして見せられるようにお直ししています」と福田さん。ワンピースの深く開いた胸元や、袖のボリュームをつくり出すために、ボタンを追加するなど、ディテールを少し変えて、コーディネートが組みやすくなるよう、変身させる。
さらに、数年前からは、伝統のある国内の工房で染色も始めた。「100年続く国内の染色工房で、同年代に存在していた異なる国の洋服を染め、今の時代の僕たちが着る。染めに限らず、次の時代へその服を活かすことが僕らの役割だと思うんです」。