緑萌える季節。レタスもいっしょにおいしくなる。
おなじみの丸く巻いた玉レタス、グリーンカールやフリルレタスなどのリーフレタスもたくさん出回り、レタスの世界が広がっている。
〝レタスといえばサラダ〟と思っていませんか。洗いたてのみずみずしい葉っぱはもちろんサラダの立役者だけれど、別方向のおいしさもある。
さっと熱を通します。新鮮なレタスに火を通すなんてもったいない……と思うかもしれないけれど、パリパリの歯ごたえだけがレタスのおいしさではない。しなやかにくったりしたレタスは、肩の力が抜けて優しい表情に変わる、レタスにはこんな顔もあったんだなあ、と驚くはず。
でも、煮てしまってはだめ。くたくたになると、レタスが泣いてしまう。とにかくあっという間に熱が通るので、火が通り切る前に引き上げるのがコツです。沸騰した湯に葉っぱをまとめて入れ(一枚ずつやっていると、最初に火を通した葉に火が通り過ぎてしまう)、菜箸の先で熱湯のなかに押し込むようにして全体を均すと、うまくいく。 全体がしなっとした瞬間を逃さず、すぐさま引き上る。ちょっと微妙なタイミングだけれど、一度やってみると塩梅がわかるはず。〝火が通っているのに、しゃきっ〟。この感じを目指しましょう。
もうひとつ、大事なオマジナイがある。
ゆでる熱湯のなかに、ちょろりと油を入れる。
これはレタスの緑を鮮やかに守るためのお約束。油が葉っぱ全体をコーティングして、色褪せない。小さな技だけれど、レタスにとってはとても大事なことを、私は広東料理のシェフから教わった。 レタスひと玉、するりとお腹のなかに消えるひと皿です。