夏は日差しを跳ね返す白が着たくなる。
コットンや麻のシャツにオフホワイトやライトグレイとか、薄い色のボトムを合わせると、こざっぱりとして爽やか。全身でぱあんと日差しを跳ね返すような、無敵の気分になれる。
料理も似ている。
色をたくさん混ぜず、あえてめりはりをつけない淡色同士の組み合わせは、かえって新鮮に映る。
たとえば、夏場のいか。いかは種類によって旬が違うのだが、夏においしくなるのはアオリイカ、スルメイカ、アカイカ、剣先イカなど。肉厚でぷりぷり、ぐんと甘みが強くなる。もちろん鮮度が生命線。艶や透明感があり、目がきれいで、むっくり丸みのあるものを選びたい。
火を通すと、透明感の奥から穏やかな白が現れるところも、いかを料理するときの醍醐味だ。まな板の上、鍋のなか……刻々と変化する様子をじかに眺めるのは、台所に立つ者の特権だな、といつも思う。
いかと合わせたいのは、薄緑が清々しいセロリ。淡い色彩のコンビネーションだけでなく、むっちりとした舌触り、しゃきしゃきの歯ごたえ、逆方向の食感の一体感を狙います。
いかとセロリをさっと炒めてみましょう。