「いくらトレーニングをして筋肉を増やそうとしても、適切な質と量の食べ物を摂らなければ筋肉はつかない」
これは、プロフェッショナルのアスリートやトレーナーたちから何度も聞いた言葉である。あるトレーナーは、「身体づくりはトレーニング二割、食八割」と断言した。つまり、食べることは、それほど重要な身体づくりの根本だということ。でも、プロだけに当てはまるのではなく、私たちのふだんの生活にも響く言葉だと思う。
今回は、炭水化物、脂質とならぶ三大栄養素のひとつ、たんぱく質の話。
たんぱく質は筋肉をつくるうえでも大きな働きを担う栄養素だけれど、不足すると髪や爪、肌にも影響をおよぼすから、ファッショニスタも油断大敵。じゃあ、どれだけ食べればいいの?
目標は、体重1kgあたり最低1g。アスリートの場合、持久性トレーニングを行っていれば1・2〜1・4g、断続的な高強度トレーニングを行っていれば1・4〜1・7gという目安も提唱されている。いずれにしても、エネルギー消費の度合いによって摂取量は変わってくるのだが、過度に摂ってもあまり意味はない。
じゃあ、わたしは体重55kgだから、一日に55gの肉を食べればいいわけだから楽勝、と考えがちですよね。でも、これは大きな間違い。スポーツ栄養の第一人者、鈴木志保子さんは「良質なタンパク資源である肉は、脂身のない部分の約20%がタンパク質であると考えるとよい」。さあ、計算してみましょう。55gの肉は、実質的には11gのたんぱく質。思ったよりずいぶん少ない。だからこそ、意識してたんぱく質を摂る必要がある。また、たんぱく質は肉だけでなく、卵、納豆、豆腐、牛乳、まぐろ赤身、穀類などにも含まれている。「バランスよく食べる」という聞き慣れた言葉の深い意味が少しずつわかってきますよね。
効率のいい低カロリー・高たんぱくの食材を選ぶとき、レシピの引き出しに入れておきたい鶏むね肉の一品を紹介します。