『8人の女たち』『しあわせの雨傘』で知られる、フランソワ・オゾン監督の最新映画『私がやりました』。有名映画プロデューサーが自宅で殺された。容疑をかけられたのは、売れない若手女優マドレーヌ。彼女は法廷で、親友の新人弁護士ポーリーヌが書いた、正当防衛を主張するセリフを完璧に読み上げ、無罪を獲得。それどころか世間の注目と同情を集め、まさかのスターダムへと上り詰める……。監督は#MeToo運動をきっかけに、今作ではシスターフッドの物語を紡ぎたかったという。
💭INTERVIEW
映画『私がやりました』フランソワ・オゾン監督にインタビュー
描きたかったのはシスターフッド。「たくましい女性像に惹かれる」
![映画『私がやりました』フランソワ・オゾン監督にインタビュー](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fapi.ginzamag.com%2Fwp-content%2Fuploads%2F2023%2F10%2Fportrait_resize.jpg&w=3840&q=75)
──この映画の舞台設定は映画業界ですが、原作の戯曲ではそうじゃなかったとか?
もともとの原作の舞台は文学界だったんです。主人公のマドレーヌ(ナディア・テレスキウィッツ)の職業はジャーナリストというか作家でしたが、今回はあえてマドレーヌを俳優という設定にしました。俳優はいつだって芝居をしていて、つまりは常に嘘をつく職業ですよね。だからこそ、そこで何か哲学的な考察ができるんじゃないかと思ったんです。俳優とはどういう存在なんだろう? 俳優が真実を言うのはどんな時なんだろう? マドレーヌはもともと売れない新人俳優だったにもかかわらず、法廷の場で嘘を見事に言ってのけることによって、素晴らしい俳優へと成長していく。「うまく嘘をつくことでいい俳優になる」という構造がとても面白いと思ったんです。
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Edit&Text: Milli Kawaguchi