平成元年生まれのオタク女子4人組からなるグループ「劇団雌猫」が、オタク心を持つ読者の日頃の悩みをズバっと解決。応募フォームに集まったお悩みに、メンバーである、かんさん、ひらりささん、もぐもぐさん、ユッケさんが月替わりで回答します。前回のお悩みはVol.23 誰かの一番になれない自分。この寂しさ、どうすればいい?
将来の夢がない。大学生の私は今、何に取り組めばいい?【劇団雌猫 愛と浪費のおなやみ劇場 vol.24】
質問
今月の悪友:りいさん
私は今大学1年生で、もうすぐ大学2年生になります。この1年の間に自分が成し遂げた!やり切った!ということがあるかな、と振り返って考えてみると、“何もない”に至りました。
しいて言うならバイトの掛け持ち頑張ったぐらいです。そしてこの前ついに母親から「もうすぐ1年が経つけど2年になるまでに何か資格とか取らないとじゃない?」と指摘を受け、この1年バイトしかしていない自分に情けなさを感じました。
周りにいる何人かの友達は、将来の夢を持っていますが、私は正直、何もないです。生きていれば、まあいっかという感じなのです。私はこれからどうしたらいいのか、どんな資格を取ればいいのか、資格を取ることは本当に必要なのか、根本的に私の考えがダメなのか、具体的なご意見が頂ければ幸いです。
劇団雌猫からのアドバイス
今月の回答者:ひらりささん、ユッケさん
ひらりさ 今月はひらりさとユッケのコンビでお送りします!相談者さん、まずはコロナ禍の大変な中、大学に進学して、授業やバイトを頑張っただけで十分えらいと思う!お疲れ様〜。だから気にしなくてもいいんじゃない?と言いたくなっちゃうけど……ユッケさんはどんな大学1年を過ごしてた?
ユッケ 地方から出てきて一人暮らしを始めたばかりだったから、最初は日々の生活と授業、サークルに慣れるだけで精一杯だったよ。資格も取ってないし、バイトを始めたのも1年生の秋ごろだったはず。ひらりささんは?
ひらりさ 私は実家から大学に通っていたけど、成績厨だったから何より勉強を頑張ってた。
ユッケ 成績厨、いいな。
ひらりさ あとはサークル活動として、学生新聞団体に入ったのね。人が少ないのに毎週紙面を発行しないといけなくて、とにかく忙しかった。授業→取材→コンビニ飯で昼食→授業、という日々だった。学内ローソンのテラス席でカップヌードルを食べてるときに「私はカップ麺をかきこみたくて大学に入ったのか?」と自問自答した記憶が……。
ユッケ 多忙すぎる!(泣)
ひらりさ 進路に関しては、法科大学院に進学して後々弁護士になりたいと思っていたから、大学1年生のうちに何か資格を取ろうっていう考えがなかったなぁ。ユッケさんは大学1年生の時点で夢とかあったの?
ユッケ 私は中学生の頃からずっと、将来は本に関わる仕事がしたいと思っていたの。だから大学もマスコミ系に強いと言われているところに行ったし、サークルも出版系だったし、大学2年生からは新聞社や出版社でバイトもしてた。
ひらりさ 夢に向かって着実にステップ踏んでいてえらい!
ユッケ でも私の場合は、思い込みが強すぎた部分もあったんだよね。「絶対に出版業界しかない」って自己暗示をかけていたから、それ以外の進路が考えられなくなってて。今思うと、もっと柔軟に色々な職種を見ておけばよかった。結局、新卒で入った出版社も辞めちゃったし。
ひらりさ 大学1年生の時に思っている「自分はこれだ!」っていうものって、本当に合っているのか結構疑問だよね。むしろなんでも柔軟に色々な世界を覗いてみる時期でいいと思うなぁ。私なんか、大学4年生の時に弁護士になる夢諦めたからね(笑)。
ユッケ それもすごい方向転換だよね。どうして諦めようと思ったの?
ひらりさ 東日本大震災の時に、ちょうど法科大学院入試の模試を受けていたの。大地震を目の前にして「もし明日死ぬなら、私はこのまま勉強してたくないな」って思ったんだよね。それからは「今やりたいこと」をベースに考えるようになって、大学院には進学せず、編集者になったの。
ユッケ 「今やりたいことベース」で物事を考えるのって、生きる上ですごく大事なことだと思う。よく「○年後どうなっていたい?」みたいな考え方で人生の目標を立てる機会があるけど、その理想像に向けて逆算して今やるべきことを考えたとして、それが今やりたいことじゃないのであれば、無理にやる必要ないと思う。
ひらりさ わかる。相談者さんは、資格を取っていなくて大丈夫なのかな…と不安に思っているようだけど、やりたいことがないうちは、特に何の資格も取らなくていいと思うんだよね。まずはふんわりでもいいから、やりたいことや向いていることを考えた方が良さそう。
ユッケ 私、何の資格も持っていなかったから、就活のエントリーシートの資格の欄には「カッパ捕獲許可証所持」って書いてたよ。
ひらりさ カッパ…?ネタで資格取ったの?
ユッケ ネタじゃないよ!(笑)当時は授業で『遠野物語』とか読んでて、本当に妖怪に興味があったの。で、カッパに会いたくて岩手県遠野市に行ったら「この資格持っていたら捕獲できるよ」って地元の人がくれた。
ひらりさ 本当にカッパに会いたかったんだ…。
ユッケ まだ会えてないんだけどね…。カッパ見かけた人はご一報ください、私がいれば捕獲できるので…。
ひらりさ 真面目な話に戻すけど(笑)私はTOEICとか運転免許証とかは一応取っていたよ。資格そのものが特に必要っていうわけではなくても、「努力すると手に入るものについてはある程度努力できます」っていう保証くらいにはなるかなと思う。もしお金と時間に余裕があるなら、そういう汎用性の高い資格を取る努力から始めてみるのもありかも。
ユッケ この間、ライターの青柳美帆子さんのブログ記事『お金のことを考えたくない人はFP3級を勉強するといい』がバズっていて読んだのだけど、FP(フィナンシャル プランナー)の資格もいいなと思った。3級は日常でも使えるような、基礎的なことが学べるらしい。
ひらりさ お金の管理に関しては、どんな人生でも必要になってくるもんね。これは自分がぼんやり弁護士を目指して結局諦めた経験からも言えるんだけど、焦り故に他人の真似をして「みんなもやってるから」という理由だけで行動してもあまり良いことはないから、そういう理由で資格を取るのはお勧めできないかもしれない。
ユッケ うんうん。「みんなやってるからなんとなく」という理由で資格を取る必要は全くないと思う。逆に「カッパ捕まえたい」とか「お金の管理をちゃんとしたい」みたいな自分の意思によるものなら、お金を出してでも資格を取っておくのは良さそう。
ひらりさ 「取るべきなのか…」とモヤモヤ悩んでいるならまず参考書だけ買ってみるとかね。途中で無理になったらやめてもいいし。私の家にはそうやって放置している参考書がたくさんありますが……。
ユッケ 夢がないことについても、現時点で焦る必要は全くないよね。社会に出てから「本当にやりたいことと違った」って気づいて異業種に転職する人もたくさんいるし、私が大学1年生の頃なんて、世の中の仕事のほんの一部しか知らなかった。社会に出てから「こういう仕事もあるんだ!楽しそう!」って思ったもの、たくさんあるよ。
ひらりさ わかる!今知っている少ない選択肢の中から選ぶのって、限界あるよね。バイトも、もし1年続けて飽きてきたなら新しいジャンルのところに転職してみるのもいいかも。まだ飽きていないなら突き詰めてみてもいいし。
ユッケ 私は、相談者さんの「生きてればまあいいか」というスタンスがすごく良いなと思うの。どんなことも「私にはこれしかないんだ!」と思い詰めすぎると、失敗した時に人生詰んでしまうので。今のスタンスのままでちょっとでも興味があることをつまみ食いして欲しいな。もしかしたらそこで、新しい夢に出合えるかもしれない。
ひらりさ いいね!ところでユッケさんは今年成し遂げたいことある?
ユッケ 今興味があるのはシナリオライター講座とか、あと写真やデザイン、インテリアの勉強もしたい。さっき言ったFP3級も、私はお金の管理がダメダメなので気になるし…。相変わらず欲深い人生ですわ。ひらりささんは?
ひらりさ 同人誌を作ること!毎年何か好きなテーマについて好きな人に文章を書いてもらうことが一番楽しいから、それができるように生活と人脈と自分の好奇心を保っていたい。生きていればなんとかなるので、今年もゆるゆるいきましょう。
ユッケ 健康第一だね。あ、健康といえば、劇団雌猫の新刊『一生推したい!私たち、ゆる健康はじめてみた』!今日から始められる意識の低い健康法がたくさん載っているので、ご興味のある方はぜひ…。(宣伝)
☆次回 かん・ユッケが登場します☆
あなたの悩みも聞かせてね。投稿フォームはこちら。
*ご相談者のお名前に誤りがありました。5月2日に訂正させていただきますとともに、関係者の皆様には心よりお詫びいたします。