韓国生まれ・フランス育ちの主人公が、原点である祖国をさまよう8年間を、3部+エピローグ構成で描いた『ソウルに帰る』(8月11日より全国順次公開中)。ダヴィ・シュー監督(写真右)は友人の実話をもとに脚本を書き上げたそう。監督も、本作にて俳優デビューした主演のパク・ジミンさん(写真左)も主人公同様、フランスで育ちながらアジアにルーツを持つ。その人生経験はどう作品作りに影響したのだろう?[*記事の末尾に、結末のネタバレを含みます]
💭INTERVIEW
映画『ソウルに帰る』ダヴィ・シュー監督×パク・ジミンにインタビュー
異文化の間でゆれること、矛盾を抱きしめて生きること
──主人公フレディ(パク・ジミン)は韓国で生まれ、フランス人の両親の養子になった過去を持ちます。一方、ダヴィ監督はカンボジア系フランス人で、ジミンさんは韓国からフランスに移住したとのこと。アジアにルーツを持つお二人がこの映画を作るにあたり、「フレディに自分を重ねた部分」と、「リサーチや想像で補った部分」を教えてください。
ダヴィ この物語やフレディのキャラクター像は、友だちのロール(・バデュフル)の半生から直接インスピレーションを受けています。ロールは1歳の時、韓国からフランスに養子に出されました。私が2011年に釜山国際映画祭に初参加した際、彼女も一緒に韓国に来たんです。その時に、彼女の韓国人の実父と祖母とランチする機会がありました。言語の違いなどから会話もままならず、悲しみ、苦悩、後悔……ロールの中ではさまざまな感情が交錯していました。
この友だちの経験に共感し、またどこかで魅了されもしました。私自身、彼女の経験を通して何かを理解したような気がして、これを他の人たちにも理解してもらうために、物語にできるかもしれないと思うようになりました。ここで言う「理解」とは、感情的に理解することです。
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Photo: Yuka Uesawa Edit&Text: Milli Kawaguchi