単調な毎日に、こんな友だちがいてくれたら……。西部開拓時代、アメリカンドリームを追いかける二人の友情を描いた映画『ファースト・カウ』(12月22日公開)は、現代アメリカ映画の最重要作家として、今世界で最も高い評価を受けるケリー・ライカート監督の長編第7作。いわゆる西部劇のヒロイックな世界観とは異なる、可笑しくも切ない親密なストーリーをどう創り出したのだろうか。(Photo ©︎GODLIS)
💭INTERVIEW
『ファースト・カウ』ケリー・ライカート監督インタビュー
「かたや夢想家、かたや現実主義者。全然違うからこそ、この友情はうまくいく」
──舞台は1820年代、西部開拓時代のオレゴン。料理人のクッキーと、中国人移民のキング・ルーは「その地でたった一頭の牛からミルクを盗み、ドーナツを作って一攫千金を狙う」という大胆な計画を立てるうち、不思議な友情で結ばれていきます。
友情の始まりは便宜的で日和見的でした。ならず者も少なくない環境で、一緒にいれば、より安全かもしれない。キング・ルーはクッキーが役に立つだろうと、ピンときたのかもしれない。でものちに、二人はお互いを仲間と認め、一緒にいることを楽しむようになり、それは真の友情へとつながります。
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Text & Edit_Milli Kawaguchi