橋本 愛

ニット¥135,000、中に着たシルクシャツ¥120,000、スカート¥205,000、ソックス¥17,000、シューズ ヒール8.5cm ¥102,000(以上グッチ|グッチ ジャパン)
好きなものが凝縮していたグッチに出合って
私もシルヴィアのように涙しました
ヴィンテージショップのマネキンを見たシルヴィアが涙を流しているシーンを観て、アレッサンドロのデビューコレクションに出合った時のことを思い出しました。たまたま入ったお店で目を奪われ、私の好きなものを全て表現してくれる人がいる!と衝撃を受けたんです。それまで私は古着の中から好みのアイテムを探していたのですが、アレッサンドロが手がけるグッチを知ってからはその芸術性と手の込んだものづくりに惹かれ、モードに関心を持つようになりました。
フィルムの中のヴィンテージショップでは、ミステリアスな女性が将来服を手にとる人に向けて紙に詩の一節を書き込み、ポケットに忍ばせていきます。顔も名前も知らない人から時空を超えて何かをもらうというのはタイムカプセルを開ける感覚とも似ていて、わくわくします。私もあの紙がほしい!本当にグッチはロマンティックだな、と思います。

シルヴィアはヴィンテージショップの店頭に飾られていたマネキンを見て涙を流す。マネキンが着ていたのはアレッサンドロが初めて手がけたグッチ2015-16年秋冬のランウェイに登場したコート。
野村 訓市

グッチのタイムレスなモノづくりの姿勢が
はっきりと伝わってきました
ああいうヴィンテージショップに行ったことがあるし、プリムハットをかぶったフローレンス・ウェルチ風の女性も見たことがある。そこにグッチの服が違和感なくなじんでいました。
「今季のものは来年は着られない」といった視点では作っていなくて、タイムレスなモノづくりをしているのだろう、と思います。このエピソードでは、そうした姿勢がはっきりと伝わってきました。ずっとループしていて終わりがないから『OUVERTURE of Something that Never Ended』(終わらなかったものの序曲)というタイトルなのかな、とも。
でも、やっぱり意味を探して観る作品でもない気がするから、深読みするのはつまらないことなのかもしれません。

シルヴィアが見つけたヴィンテージショップの店内には、アレッサンドロが手がけたグッチの過去のコレクションのウェアやアクセサリーが並んでいる。
石田 真澄

エピソード6のイメージ写真を石田真澄さんが撮り下ろし
やっぱり途中経過を
淡々と映し出している
ヴィンテージショップでお客さんたちが店員さんと会話しながら試着している姿を見ていると、自分が似合う服って、他人の方がわかっていたりするなあ、と思いました。シルヴィアも相談しながらメガネを選んでいましたよね。
このエピソードでも、普通なら省くであろう服の着脱を淡々と詳細に映している。フィッティングルームから出てきたところだけではなく、パンツをはいてシャツをインしたり、ドレスを着るためにセーターを脱いだり、といった動作を詳細に描いているんです。

ヴィンテージショップの客たちが試着する姿を詳細に映し出す。
エピソード6に登場したルック