橋本 愛

ニットベスト¥120,000、タイ付きブラウス¥150,000(共にグッチ|グッチ ジャパン)
個性豊かな人々が
共存している世界は美しい
登場人物はみんなエキセントリック。でも、違いを持った人々が共存しているから美しいんだ、ということを見せられた感じがすごくしました。
このシリーズを観始めたばかりの頃は全員グッチを着ていることにちょっと違和感があったりしたんですが、中盤を過ぎるとすっかりその状況を自然に受け入れていて。次はどんなルックが出てくるんだろう、とわくわくしていました。個性豊かな人たちはみんなグッチが似合っている。ただ好きな服を着ていて、それがたまたまグッチだった、という気がしてくるんです。中でもつけまつげを手入れしている画家の女の人はルックもキャラクターもかわいかった。

グッチ ビューティのキャンペーンの顔でもあるアーティスト、アリアナ・パパデメトロプロスが演じる画家はつけまつげを熱心に手入れしている。
野村 訓市

時代を牽引した人物たちが
世代を超えてつながっている
アパートの住人の1人が観ているビリー・アイリッシュのミュージックビデオをハーモニー・コリンが監督していて、あいかわらずガスと仲がいいんだな、と思いました。僕はハーモニーと同い年で、彼が僕をガスに紹介してくれたんです。
ハーモニーは19歳の時に映画『キッズ』(1995)の脚本を書いて脚光を浴び、「恐るべき子供」と言われた。当時の彼は今、10代で世界を席巻しているビリー・アイリッシュが置かれている状況と一緒なんだと思います。30くらい歳が離れた2人が同じ土俵に立ち、それを70近いガスが料理する、ということを考えると1人でほっこりしてしまいました。時代を牽引した人物たちが世代を超えてつながっているのはすごくすてきなことですよね。
ガスやハーモニーがどれだけ僕たちの世代に衝撃を与えたかというのは時代背景もあったから若い人たちになかなかうまく説明ができない。無理やり年長者の意見を押し付けられるより、自分たちの世代のヒーローから「この人は面白いから見るべきだ」と言われた方がよっぽど響くじゃないですか。たとえばビリー・アイリッシュがきっかけでハーモニーを知ったり、ハーモニーをずっと好きでカルトヒーローだと崇めている僕たちの世代が「やっぱりビリー・アイリッシュっていいの?」と思ったりとか。興味なかったけど、「あの人がいい、と言うんだったら」と挑戦してみることってたくさんありませんか?だから今回グッチとガスが手がけた映画の中にビリーとハーモニーの組み合わせが出てくる、というのがまさにそういうきっかけになればいいと思います。

劇中に出てくるビリー・アイリッシュ「Therefore I Am」のミュージックビデオ。ハーモニー・コリンが監督を務め、LAで撮影された。ボストン・ダイナミクスが開発した2匹のロボット犬も登場。
石田 真澄

エピソード5のイメージ写真を石田真澄さんが撮り下ろし
カテゴライズにとらわれない
自由な生き方をシリーズを通して訴えている
ウィッグを干したり、つけまつげを洗っていたりする色鮮やかな装いの隣人たちとは対照的に、それを眺めているシルヴィアはコサージュ付きの黒いシースルーのドレス姿で目を引きました。窓がたくさんあって、ベランダに植物がわーっと密集しているアパートにはなんだか台湾っぽさを感じてしまいましたね。
エピソード1でリハーサルをしていたバンドメンバーの男の人がまた出てきます。髪の毛が長くて、フェミニンな雰囲気なんだけどひげを剃り、そしてドレッシーなブラウスを纏う。シリーズを通して性別といったカテゴライズにとらわれない自由な生き方を表現しようとしているのを感じます。

近所に住むバンドメンバーの男性はひげを剃って身支度をする。
エピソード5に登場したルック