M それにしても『金色のリボン』というタイトルは秀逸です。『ジングルベルも聞こえない』という曲に登場するフレーズですよね?
W そう。ファンの方へ感謝を込めて、記憶に残る作品にしたかったので。
M 1982年は、10月にソニーから世界初のCDプレーヤーが発売された年でもありました。聖子さんの『風立ちぬ』や『Pineapple』も世界で初めてCD化されるアルバムに選ばれて。大滝詠一さんの『A LONG VACATION』や、ビリー・ジョエルがグラミー賞を受賞した『ニューヨーク52番街』なんかと一緒に。
W CDは、ソフトとハードの両方を追求するソニーの一つの到達点だったからね。大変光栄なことでした。
M そんな背景もあって、ビリー・ジョエルと聖子さんの食事や共演も実現したんでしょうね(前編参照)。聖子さんのアルバムが、CDプレーヤーの普及を後押ししたのは間違いないと思いますよ。『金色のリボン』は『HAPPY SUNDAY』の収録も嬉しかったです。
W 聖子のFM番組の主題歌だよね。グリコが提供していた「ひと粒の青春」。あとは映画『野菊の墓』の挿入歌「野の花にそよ風 〜サブテーマ「雲」」もいい曲でした。
M もうイントロだけで草原が見えてきます。当時、聴きながら「民さんは野菊のような人だ」って毎日つぶやいてました。
W (笑)おかげさまで映画もヒットしました。聖子の曲がみなさんの青春の1ページになっているなら、こんな嬉しいことはないです。
M 『野ばらのエチュード』の別バージョンもかなりレアです。
W 本当はシングルをもっと派手にしたかったから、大村雅朗さんに別バージョンを作ってもらったんですよ。
M ストリングスが効いていて壮大なイメージ。聖子さんの歌い方も曲調に合わせてシングルと、また違いますよね。1982年は聖子さんが、初めての武道館コンサートを開催した記念の年でもあります。タイトルは「Christmas Queen」、12月25日の開催でした。このアルバムは、そこにもつながっていたんですね。
W そうでした。あれから100回以上も武道館公演を続けてるなんて、すごいよね。翌年にコンサートを監督した伊集院静さんは、自分が推薦したんです。伊達歩というペンネームで作詞しているのは知っていたけど、才能溢れる方で、ゲネプロの時に「とても、いい感じですね!」と、お話ししたのをよく覚えています。