過去のいじめ事件が暴かれ、現在のいじめ事件と重なる展開に。ドラマ24『錦糸町パラダイス〜渋谷から一本』(テレ東金曜深夜24時12分〜)7話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。6話のレビューはコチラ。
ここまで来て、1話冒頭シーンの重要さがわかった
過去のいじめ事件が暴かれ、現在のいじめ事件と重なる展開に。ドラマ24『錦糸町パラダイス〜渋谷から一本』(テレ東金曜深夜24時12分〜)7話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。6話のレビューはコチラ。
3話から錦糸町のさまざまな場所に現れ、毎話その回の話を象徴するようなラップを冒頭に披露してきたMOROHAのAFRO。作品と私たちの間に存在するような、ストーリーテラー的な存在を担ってきた彼が、7話では作品内のFM番組「星降る錦糸町」に、AFRO本人として登場した。
「今日はですね、自分の大好きなこの街の物語をラップさせていただけたらと思います」と断ってマイクを握った彼から放たれた言葉は、約10年前のいじめ自殺のこと。そして今いじめを受けている谷山(井上涼太)のこと。なみえ(濱田マリ)とかおる(光石研)は「すごい!」と無邪気に喜んでいるけれど、その内容はかなりエグく、つらいものだ。
1話冒頭で掃除会社・整理整頓の大助(賀来賢人)、裕ちゃん(柄本時生)、一平(落合モトキ)が清掃に行った橘夫妻(板尾創路、菜葉菜)の家。3人が再びこの家を清掃する描写を、私たち視聴者はフラットに見ることができない。なぜなら、この家の娘がいじめで自殺したことを知ってしまったからだ。大助たちが家に到着した時点で、画面には「橘美里の家」と表示されるし、3人揃って美里(太田しずく)の仏壇に手を合わせるシーンもある。
1話では、ただ3人が普段こんなふうに掃除のしごとを行っていると説明するためだけのシーンだと思っていたが、とんでもない。この最初の掃除風景こそが、物語にとって重要だったのだ。そう知ってから1話を見返すと、ここでもちゃんと大助は仏壇に手を合わせている。
Edit_Yukiko Arai