11月16日から1週間にわたり、最新コレクションを発表するためにオンラインでムービーを発信したグッチ。
クリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレと映画監督ガス・ヴァン・サントの共同監督で撮影されたこの短編映画シリーズについて、1エピソードずつ女優・橋本愛、編集者・野村訓市、写真家・石田真澄にそれぞれの視点で語ってもらい、ginzamag.comでグッチにならって毎日アップしていきます。
今日は主人公シルヴィアが近所のカフェで過ごすエピソード2。
前エピソード:-「自宅にて」-
11月16日から1週間にわたり、最新コレクションを発表するためにオンラインでムービーを発信したグッチ。
クリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレと映画監督ガス・ヴァン・サントの共同監督で撮影されたこの短編映画シリーズについて、1エピソードずつ女優・橋本愛、編集者・野村訓市、写真家・石田真澄にそれぞれの視点で語ってもらい、ginzamag.comでグッチにならって毎日アップしていきます。
今日は主人公シルヴィアが近所のカフェで過ごすエピソード2。
前エピソード:-「自宅にて」-
橋本 愛
ニット¥135,000、中に着たシルクシャツ¥120,000、スカート¥205,000(以上グッチ|グッチ ジャパン)
普通じゃないフィクションと
ノンフィクションとの合間の世界
噛み合わない言葉が飛び交っているんだけど、話している人たち同士は通じ合っている。本当に不思議でした。でも、カフェにいる時って、思いついたことをふと口に出しちゃうから、それぞれの心の奥底にある大事なものをやりとりしていると言えるのかもしれません。
みんなグッチを着ている、という状況はあり得ないかもしれないけど、確率がゼロというわけではない。そう考えると楽しくなります。フィクションとノンフィクションの合間の世界をずっと観ている感覚もありました。中には全裸で会話している2人組もいるのですが、違和感がないんです。なぜ服を着ていないことを変だと思うのか、といった根源的な問いが生まれてきます。「普通」や「常識」といったものは全部人間が作っている。ここではそれらが見事に壊されているのを感じました。
カフェの片隅で全裸で語り合う男女。
野村 訓市
ガス・ヴァン・サントと
ドライブしたことを思い出しました
カフェにいると、だいたいこんなものかも。みんなが話している内容はたいていほとんど意味をなしていなくて、それを誇張したエピソードというか。僕は内装もやるので、カフェのディテールが思わず気になってしまいましたけど。
最後シルヴィアの仲間が車でローマ観光をする場面で、ガス・ヴァン・サントとのドライブをなんとなく思い出しました。ガスとけっこう仲良くて、LAに行くと彼の運転で2人でドライブに行ったりしたこともあります。そういえば車の中で何を話したっけ、と思い返してみたんですけどわりとばらばらな話でこのカフェにいる人々とあんまり変わらないかも。話の途中で突然「クン、このバンド知ってる?」と言ってミックステープを聴かせてくれたりするんです。「そもそもなんでこのテープを持ってるの?」「〇〇が作ってくれて」「えっ、〇〇と遊んでたの?!」と聞いていくとぼそぼそと教えてくれる。ガスは声高に昔の功績を語る人ではないので、質問をたくさん投げかけとかないともったいない、と思っています。
すごく自然体で、さらっといろんなところにつながっていて、多岐に渡る背景を持っている。ゲイであることを最初期にカミングアウトし、写真も撮るし、音楽に造詣が深く、ミュージックビデオを作ったこともある。今回グッチがガスを起用したというのは、もちろん彼の作品がすてきだとか好きだということもあるでしょうが、周りの反応とは関係なく好きなものを撮る、という姿勢が理由のひとつにあるのではと思います。『ドラッグストア・カウボーイ』(1989)みたいな単館上映の「アートフィルム」を撮りながら、アカデミー9部門にノミネートされた『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97)で商業的にも成功する。でも、その後にコロンバイン高校の銃乱射事件を題材にした『エレファント』(2003)とか、本当に関心のある題材を撮ってしまうというフラットなところが本当にすばらしい人です。
シルヴィアの仲間たちはヴィンテージのシトロエン・ディアーヌに乗ってローマ観光へ。
石田 真澄
エピソード2のイメージ写真を石田真澄さんが撮り下ろし
ずっと何かがずれていて
リアリティがある設定なのにどこか非現実的
眠っている時などの幻想的な話をしていて、みんな全く噛み合っていない。服装や音楽も、ずっと何かがずれていて、カフェでお茶をするとかすごく現実的なのに、どこか非現実的。全エピソードを観終わった後にその理由がわかったような気がしましたけど。
シルヴィアはドレッシーな感じで統一していくのかな、と思っていたら今回はスポーティなスタイルだったのも印象的。
ここでもトイレのシーンでわざわざハンドドライヤーで手を乾かすところまで詳細に描いていたのが気になりました。
20歳のロンドン出身のクィアアーティスト、アーロ・パークス演じる友人とカフェで語り合うシルヴィア。
エピソード2に登場したルック
Photographer: Gus Van Sant
女優。1996年熊本生まれ。主な出演作品はNTV「同期のサクラ」、WOWOW「パレートの誤算」、NTV「35歳の少女」。ヒロインの親友役を務めた映画「私をくいとめて」が12月18日(金)より全国ロードショー予定。2021年NHK大河ドラマ「青天を衝け」では主人公渋沢栄一の妻となる尾高千代を演じる。
編集者。1973年東京生まれ。設計事務所「TRIPSTER」の一員としてインテリアデザインも手がける。「TRAVELLING WITHOUT MOVING」(J-WAVE)ではナビゲーターを務めている。
写真家。1998年埼玉生まれ。2017年初の個展「GINGER ALE」を開催。作品集に「light years -光年-」(18)、「everything will flow」(19)がある。
開催期間:2020年11月17日(火)〜22日(日)
開催サイト: 特設サイトGucciFest.com、Youtube内Fashionチャンネル、グッチ公式チャンネル、Weibo
【問い合わせ先】
Tel: 0120-99-2177
(グッチ ジャパン クライアントサービス)
Photo: Reiko Toyama(Ai Hashimoto, Kunichi Nomura), Masumi Ishida(herself) Styling: Tamao Iida(Ai Hashimoto) Hair & Make-up: Hiroko Ishikawa(Ai Hashimoto) Text&Edit: Itoi Kuriyama