橋本 愛

ドレス¥335,000(グッチ|グッチ ジャパン)
力を抜くことでしか
最高のパフォーマンスはできない
同じ演じる身として、オーディションの前のシルヴィアと友人の会話は痛いほどよくわかります。緊張した時はああやって力を抜くことでしか最高のパフォーマンスはできません。みんな一緒なんだな、と。それに、感覚を言葉にしながら身体でコミュニケーションをとることも重要だと思いました。
ダンスの曲は「ボレロ」でしたが、舞台を観に行ったこともあるのですごくうれしくて。ステージでダンサーたちが肌と肌を触れ合わせて呼吸し合う姿は、一見ぐちゃぐちゃなのに美しい。振付師さんの「触れる感覚をよく研ぎすませて」「重さを感じて」という語りかけに、自分も踊っているような気分になってしまいました。

オーディションに向けて緊張するシルヴィアに、俳優・劇作家のジェレミー・O・ハリスが演じる友人が声をかける。
野村 訓市

ギエムの踊りに出合って以来
「ボレロ」が大好きなんです
実は「ボレロ」大好きで。昔やんちゃしていたんですけど、二十歳ぐらいの時友達のお母さんに「ちゃんとした芸術を観ないとあんたたちはだめだ」といきなりチケットを渡されました。それがモーリス・ベジャール振付でシルヴィ・ギエムが踊る「ボレロ」だったんです。
ギエムってなんだかきれいな人みたいだし試しに男2人で五反田のコンサートホールに行ってみたんですが、完全に周りの観客から浮いていましたね。幕が開いたらベージュのレオタードに黒いタイツというストイックな衣装で裸足のギエムが舞台の真ん中に1人で立っている。ずっと同じ振りでリズムをとりながら、ものすごい時間をかけて音と共に盛り上がっていく展開。本当にすばらしい音楽だったし、すごいものを観たぞ、と衝撃を受けました。なので「ボレロ」には思い入れがあるんです。
今回の群舞も良かった。無音での練習でダンサーたちが身体を絡ませているのも、頭の中で音楽が聞こえたりするから、すごくすてきなシーンだなあ、と思いました。

ドイツ人振付家サシャ・ヴァルツがダンサーたちの動きを導いていく。
石田 真澄

エピソード4のイメージ写真を石田真澄さんが撮り下ろし
スパンコールのルックを
私もこうやって撮りたい
劇場の暗闇の中でグッチの服のカラフルな色合いやスパンコールの輝きがすごく活きていました。観客はみんな思い思いの装いでかわいかったし、客席に座ってバストアップしか見えていなくても服の魅力がしっかり伝わってくる。一方でダンサーたちはヌードカラーのトーンでまとまっていて対照的でした。
最後、シルヴィアが着ているスパンコールのルックがだんだんぼけていくカメラワークがすごく美しくて、ドラマティックでした。この服だったら私もこう撮りたい、と思ってしまいました。

シルヴィアがステージ上に1人で佇むラストシーン。
エピソード4に登場したルック