クォーター・ライフ・クライシス。それは、人生の4分の1を過ぎた20代後半〜30代前半のころに訪れがちな、幸福の低迷期を表す言葉だ。28歳の家入レオさんもそれを実感し、揺らいでいる。「自分をごまかさないで、正直に生きたい」家入さん自身が今感じる心の内面を丁寧にすくった連載エッセイ。前回はvol.78心から ニューアルバムについてのインタビューはこちら
家入レオ「言葉は目に見えないファッション」vol.79食べることは生きること

vol.79食べることは生きること
キーボードを叩く手を止め、画面の右端で時刻を確認する。お腹空いたなーとひとりごちりながら、でもどうしてもこのテキストだけまとめてしまいたい、とまたパソコンと向き合う。その日の仕事、To Doリストを全て終えてから夜ご飯を食べるのが…理想。
テレビ歌唱やレコーディング、ライブがある時はエネルギーはいるけれど、腹六、七分を意識していないと苦しくて歌えない状態になってしまうので、消化の早いミールゼリーやお餅、おにぎり、蕎麦を選ぶことが多く。長丁場の現場だと、休憩中、即心のエネルギーになるスイーツを自分に許したり、身体を絞りたい時期だとフルーツや干し芋、ナッツで栄養補給をする。インタビューやコメント録りなども同様で、私の場合血糖値が急激に上がると集中力が散漫になり話や考えが上手くまとまらなくなってしまうので、朝何かしらお腹に入れたらその後はカフェラテやプロテインで繋ぐことがほとんど。もちろんスタッフの方は出来るだけ休憩を入れてくれようとするし、どーしてもそれが難しい時は「今日は!今日は!頑張りましょう!」と現場の士気をユニークに高めてくれる。そして何より致命的なのが私はご飯を食べるのが死ぬほど遅いのだ。タイムキーパーに「あと5分!あと3分…!」と実況されながら食べるご飯はなんとも食べた気がしないのに加えて、何事においても急かされるのがほとほと苦手という性分まで持ち合わせてしまっているので、飲み物や補食程度で済ませるのが結果オーライ。その分夜ご飯を楽しみに仕事に励めるし、飽食と言われている現代で胃を休める貴重な機会にもなる。
と、まあ日中外で仕事をしている時は、ゆっくりご飯を食べること、食を楽しむことが中々難しいだけに1日の終わり、夜ご飯だけはその後のことを考えずに今日もやりきったー!と美味しいものを食べて眠りたい。ただどうしてもそれが叶わない日もあって。リリース時期の前後は帰ってから次の日の準備や原稿チェック、歌詞を書いてるとあっという間に時が経つ。もう寝るだけだし、消化悪くて睡眠の質を下げてもなー、と咀嚼回数多めのリンゴやプロテインに頼りがちになるのだけど。その分スケジュールが落ち着いてから友達やスタッフの皆さんとひっそり打ち上がるのがとても良い時間になる。久しぶりだねーって近況を報告したり。乗り切ったねーって乾杯したり。美味しいご飯を食べる秘訣は、思い切りお腹を空かせること。もうひとつはどんなに小さなことでも、何でもいい。これをやりきった!という達成感な気がする。良く遊び、良く働き、良く食べる人生にしたい。
🗣️
家入 レオ
2022年2月にはデビュー10周年を記念して「10th Anniversary Live at 東京ガーデンシアター」を開催。
2023年2月15日にはニューアルバム『Naked』をリリース。収録されている「嘘つき」はWOWOWオリジナルアニメ「火狩りの王」のオープニングテーマ。 ginzamagでのインタビュー: 家入レオが“Naked”な自分に原点回帰して気づいたセルフラブの大切さ「毒も見方次第で“あなたらしさ”になるから」 家入レオ、愛と憎しみの区別がつかなくなった「未完成」。
leo-ieiri.com
@leoieiri