5号車と6号車の緊張状態は続き、食糧の確保もだんだん難しくなる。そんな中、もといた時代へ戻れるかもしれない手がかりが見つかり……。ドラマを愛するライター釣木文恵と漫画家オカヤイヅミが、『ペンディングトレインー8時23分、明日 君と』(TBS金曜夜10時〜)7話を振り返ります。6話のレビューはコチラ。
🎨CULTURE
考察『ペンディングトレイン』7話
「期待しない」直哉(山田裕貴)を受け止める紗枝(上白石萌歌)

考察『ペンディングトレイン』7話
どこまでもまっすぐな
ヒーロー、優斗
7話では、「レジリエンス」という言葉が出てきた。
いま自分たちがいる場所が、かつての世界のどのあたりだったかがわかってきた。5号車の人たちは各々思い出の場所を確認しに行く。元の世界に帰りたくない、サバイバーとしてここで生きていたいという玲奈(古川琴音)に対し、佳代子(松雪泰子)は「レジリエンス」という概念について話す。
「人は、目の前の困難や失敗にくじけずに心を回復させる力が備わっている。きっとみんな折れそうな心を回復させようとしているのよ。生きていた場所、大切な人、それがもう存在しないという現実を受け入れて一歩進むために」
やがてそれぞれが、待っていてほしい人や場所がここでは明らかに過去のものになっていることを目の当たりにする。白浜優斗(赤楚衛二)は、想いを寄せていたお好み焼き屋の真緒(志田彩良)のボロボロになった自転車を発見してしまう。
「いつか俺は帰れる。(真緒は)俺のことを待っててくれてる」と言い続けてきた優斗は、ここにきて萱島直哉(山田裕貴)の「もし弟がそんなふうに俺のことを待ってたら嫌だ」「できれば俺のことなんて忘れてほしい」「忘れて、今を笑って生きてくれてたらいいよ」という言葉を理解し、考えを変える。
それでも、「みんなで帰ろう、そしてこんな未来を変える、絶対に」とまさに心を回復させて再び立ち上がる優斗のまっすぐさは、本当に得がたい能力だ。彼がいなければ5号車の人たちはこんなふうに平穏に暮らせていなかっただろう。直哉の言うとおり、優斗はヒーローたるにふさわしい。
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Edit: Yukiko Arai