どうせ激しい暑さなら。
そのあとに続けたいフレーズは、ひとそれぞれ。キャンプに行く、近所の早朝ラジオ体操に参加する、サウナで汗を流す……もちろん、〝外に出ない〟という選択もありますね。洗濯物はよく乾くし、雑巾がけもけっこう爽快だし、夏は水を使う家事がおっくうじゃない。面倒を逆手に取るのは、オトナの知恵というわけで。
さて、台所の話です。
にらを刻むたび、小気味いいな、スカッとするなあ、と思う。数ある野菜のなかで、爽快な音が聞けるトップ3を選ぶなら、にらをランクインさせたい。包丁が入る瞬間、確かな手応えとともに、じゃきっ、ざくっ、にらの芯から荒々しい音が響く。確実に切れてくれるところも好もしい。
細かーーく刻みます。できる限り小刻みに包丁を動かし、限界にチャレンジするくらいの気持ちで、束ごと細かく、小さく、ツブツブくらいに。
細かく刻んでから火を通すと、愉快なことが起きる。にらの匂いのもと、硫化アリルは、加熱すると甘みに転じる。つまり、細かく刻むことで、甘みやうまみの倍増を狙います。くせが強いと思い込んで敬遠していたのに、とても優しい顔を見せる意外性に驚くはず。
細かく刻んだにらをどっさり使う料理を三つ、紹介します。エネルギー源になるのに、あっという間に出来るものばかり。