まもなく地球に隕石が迫ることを知っているのは2060年の未来を見てきた5号車の乗客だけ──。いったいどうなってしまうのか。ドラマを愛するライター釣木文恵と漫画家オカヤイヅミが、『ペンディングトレインー8時23分、明日 君と』(TBS金曜夜10時〜)驚愕の最終話を振り返ります。9話のレビューはコチラ。
考察『ペンディングトレイン』最終話
「お前みたいなやつがいるから、この世界は悪くない」壮大なラストに迫ってみた
考察『ペンディングトレイン』最終話
優斗がこぼす
はじめての弱音
『ペンディングトレインー8時23分、明日 君と』。ある朝突然、通勤電車の車両ごと2060年の世界へとタイムスリップした乗客たち。サバイバルを経て、戻ってきたのは2026年、元の世界の3年後。タイムスリップした先で知った、隕石が衝突し荒廃しきった姿にまさになろうとする直前の世界だった。
乗客たちは口々に自分たちの見てきたもの、この先起こることを訴え続けるが、信じてもらえない。そればかりか世間から好奇の目で見られ、個人情報がどんどん暴かれ、変に注目を集めてしまう。
予想外のことが一気に起こり、萱島直哉(山田裕貴)はこの世界に絶望する。さらに、そんな直哉を励ましていた白浜優斗(赤楚衛二)までもが現実にぶち当たり、「こんな世界、もう終わればいい」「疲れた」とこぼしてしまう。その気持ちを深く理解しつつ、「でもお前が言うな。お前が言うなよ」と伝える直哉。
直哉にとってはいつも、どんなに絶望的な状況であっても、優斗は最後まで全員を救おうとする男だった。ヒーローだった。そのどこまでも理想論的な主張と振る舞いに反発し、現実を見据えた発言をしてきたのが直哉だった。結果として、理想と現実、相反する目線をもった二人のリーダーによって5号車は救われたのだ。
Edit: Yukiko Arai